ドゥラメンテの次走は? 三冠の重みと凱旋門賞の価値
何故、長距離レースは価値が低下したのか
長距離レースの権威の低下は全世界的な流れであり、最古のクラシック競走であるイギリスのセントレジャーステークスは1970年にニジンスキーが三冠を達成して以降、春のクラシック勝ち馬の参戦が1987年のダービー馬リファレンスポイント(1着)、2012年の二冠馬キャメロット(2着)の2頭のみである。アイルランドのセントレジャーに至っては1983年に古馬・セン馬にも開放され、クラシック競走としての意味合いは相当に薄れてしまっている。
日本国内で見ると、長距離レースの大きな転換点はやはり1984年に秋の天皇賞が3200mから2000mに短縮されたことだろう。長距離の大レースが減るということは、長距離血統の種牡馬の価値の低下を意味する。そして次に起こるのは長距離路線のレベルの低下。菊花賞や春の天皇賞の最近の勝ち馬をみると、元々2000~2400m辺りのGIで実績のあった馬以外はその後の成績も振るわない傾向にある。そう考えると、藤沢和厩舎の有力3歳馬が菊花賞ではなく天皇賞(秋)を目指すのは、種牡馬としての価値を考えた上でも、実に賢明な判断と言えるだろう。
長距離レースは今後どうあるべきか。
冒頭の話に戻るが、もしドゥラメンテが菊花賞に出走しなかった場合、菊花賞の位置付けを問う声も少なからず挙がるだろう。歴史あるクラシックレースだけに、そう簡単に変更されるとは考えにくいが、可能性としては2つ。
- 菊花賞を古馬・セン馬にも開放する
- 菊花賞の距離を短縮する
この2つだろうか。ダービー馬でもキズナのように海外遠征を優先する馬、ディープスカイのように距離適性を優先する馬、近年はレース選択の多様化が進んできた。もし、現状の長距離路線の体裁を維持するにしても、レースのレベルの維持が課題である。有力馬が天皇賞(春)や菊花賞などの長距離レースへの出走を躊躇わないよう、海外レースとの兼ね合いも含めて、開催時期を見直す必要もあるのではないだろうか。
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