【オークス回顧】カムニャック陣営に「称賛」の声 エンブロイダリーらは“らしい伸び”見られず 

佐藤直文 レース回顧
オークス

大外から豪快に突き抜けて 樫の舞台で輝きを取り戻したカムニャック

 朝の稍重から午後になって芝は良馬場へと回復したが、それでも外有利のトラックバイアス。前半1000m通過60秒0はけっして速い数字ではなかったが、馬場状態を考えれば適度な流れだったのかもしれず、中団以降で脚を溜めた馬に展開は味方したように思う。

 カムニャックは、前走時よりもスムーズに折り合って無駄に動くことなく中団の外目を追走。余裕十分に直線を向いてからも、最後まで脚を使って内から迫った2着馬の強襲を凌いだ。パドックから凄い気合いを見せて抜群の気配だったが、この距離も今日のような馬場も合っていたかと思える。もともとデビュー勝ちの評価はかなり高かった馬であり、その後の不振からここまで体調を戻した陣営の力を称賛したい。

カムニャック

カムニャック鞍上のシュタルケ騎手は51歳で嬉しいJRAのGI初制覇

 2着アルマヴェローチェは、最内枠を引いたが故の好位での立ち回り。正攻法の競馬でアタマ差の惜敗は、まさに負けて強しと言える内容だった。

 3着タガノアビーは、出遅れての最後方からインを回っての大善戦。フローラSで敗れてから自己条件を勝って挑んだキツいローテーションを考えても、立派な走りだったか。

 4着パラディレーヌは、直線で十分に見せ場を作ったが、もう少し時計のかかる馬場が良かったかもしれない。

 5着リンクスティップは、直線を向いて外から来た勝ち馬に全く抵抗できなかったが、発汗が目立っていたように気性面の問題で本来の力を発揮できなかったのかもしれない。

 エンブロイダリーは、2着馬の外で力みながらの追走。ゆえに直線でらしい伸びが見られなかったが、やはりこの距離は長かったか。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。