「お目にかかれない」大知の絶妙逃げ 6着アヌラーダプラは「抜けた存在では…」

佐藤直文 レース回顧
フェアリーS

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勝つべくして勝った スマイルカナ

 前半3ハロンが34秒9で上がり3ハロンが35秒0。さらに言うなら前半の4ハロン、後半の4ハロンともに47秒0という絶妙のイーブンペースでの逃げ切りは、古馬のレースを含めてもなかなかお目にはかかれない。けっしてスローに落とすのではなく、後続にも脚を使わせる形では、逃げた馬が勝つべくして勝ったと言えるだろう。

 そのスマイルカナ。最内枠から抜群のスタートを切り、最初の数十mだけで後続に2馬身ほどの差。結果的に好位で追いかけていた馬が最後に伸び脚を欠いており、前述したようにスローに落としての逃げ切りではなかった。控えて運んだ2走前では見せ場すらなかったが、自分のリズムで運ぶことさえできれば、そう簡単には止まらないタイプ。ディープインパクト産駒ではあるが、今の少し時計のかかる馬場も合っている馬だろう。

スマイルカナ

3番人気のスマイルカナが好スタートから逃げ切りV(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着チェーンオブラブは、中団でジックリと運んだが、ペースが流れて馬群もバラけ気味だったことで、これまた自分のリズムでノビノビ走れており、勝負どころからの加速もスムーズだった。最後に少し脚を余していたことを考えれば、距離はもっとあって良さそうだ。

 3着ポレンティアは、中団前目での追走で脚を溜め、直線でスパッとはキレなかったが、ジリジリと脚を伸ばした形。久々やキャリアを考えてもよく走ったと言えるが、まだこれからのハーツクライ産駒であり、先に繋がる競馬はできたように思う。

 4着シャインガーネットは、好位で前を見ながら理想的な競馬ができたように思えたが、直線で勝ち馬に並びかけることもできず、後続に差されてしまったあたりは不満の残る内容だった。少し難しいところもあるオルフェーヴル産駒の悪いところが出てしまったか。

 5着ソーユーフォリアは、枠なりに好位の内をロスなく立ち回って直線でも見せ場を作った。理想はハナへ行く形かもしれないが、自己条件へ戻れば力上位の馬だろう。

 アヌラーダプラは、道中は中団の馬群で運んで、4コーナー手前から外へ持ち出す形。直線で一瞬は一気に前を呑み込むかという脚を見せたが、坂を上がって伸びが止まってしまった。2連勝がともに余力残しの完勝だったとはいえ、スローな流れ。今日のようなペースに対応できるほど、力が抜けた存在ではなかったとも言えるが、馬体自体は素晴らしいだけに、まだこれからの馬かもしれない。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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