後続は何してたの? 函館出身の丹内とマイネルミラノが楽逃げV

佐藤直文 レース回顧
函館記念

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ケレン味なくマイネルミラノがスイスイと 鞍上丹内 悲願の地元で重賞V

 先週行われた唯一の重賞、函館記念。当日朝からの稍重馬場が、回復せずにレースを迎えることとなったが、以前は一雨降れば途端に重くなるイメージのあったのが函館の洋芝だ。実際に、同じ稍重での施行となった10年前が2分5秒1と、かなり時計を要していた。ところが、今年は洋芝になってから歴代でも3番目に速い1分59秒0という決着。馬場の造園技術も進んでいるとはいえ、今日の馬場で前半を60秒フラットで逃げた馬が、後半も59秒0にまとめたのであれば、後続は成す術がなかったと言えるかもしれない。

 マイネルミラノは、好発を決めて内目の枠を利してスーッとハナへ。大外枠から苦労してハナに立った昨年とは対象的に、楽に先手を取った。対して、ハナを争うと見られていたオツウが、外目の枠だったこともあり、競りかけることもなくスンナリ2番手に収まった形。前述したように前半1000m60秒0は、馬場差があるとはいえ昨年の58秒6よりもかなり遅い。そして、昨年は後半1000mで自身が62秒0も要したのに対し、今回は残り5ハロンで全て11秒台のラップを刻んでの完勝劇。特に、3~4コーナーでは後続を引き離すなど、展開に恵まれたとはいえ、こういったケレン味のない逃げで自分の型へ持ち込んだ時の強さを改めて示したと言えよう。2000mは微妙に長いかとも思われていた馬だが、小回りなら相殺できるだけの適性もある。あとはマークが厳しくなった時がどうか、といったところだろう。

 とはいえ、他のジョッキーは何をやっていたのか、という見方もできる一戦だ。そんな中で、ケイティープライドは、好位のインを絶好の手応えで立ち回って2着を確保したもの。完全な騎乗ミスと思えた前走の巴賞とは対照的に、浜中騎手の好プレーが冴えた。上位2頭が七夕賞でもワンツーを決めたほどのハイレベルだった小倉大賞典で、見せ場十分のコンマ1秒差4着だった馬であり、52キロのハンデならこれくらい走って当然かもしれない。小回り2000mもピッタリの馬だろう。

 ツクバアズマオーも、オープンに昇格して連続3着と力を付けてきている。道中は中団後ろめの位置取りだったが、勝負どころで外を回さず、これまたインを巧く立ち回っていた。今週からのBコース替わりで、発表こそ悪い馬場ではなかったのであれば、この戦法も正解であった。

 4着マデイラは、離れた最低人気の馬だったが、これまたインを立ち回って4角2番手からアワヤ馬券圏内の粘りを見せた。勝ち馬はともかくとして、この馬を交わせなかった後続勢は、改めて何をやっていたのか、と問いたい。

 その最たるものが、5着バイガエシだろう。絶好枠を引いていたにもかかわらず、下げて後方から。3角を過ぎて大外から進出し、上がりも最速ではあったが、この競馬で届いたら化け物である。格上挑戦で敷居が高いとか、状態云々以前の問題だったと言わざるを得ない。

 ネオリアリズムは、鞍上が終始乗りづらそうにしていた。初来日となったティータン騎手だが、技術がどうこうではなく、馬とコンタクトが取れていなかったように思える。レッドレイヴンは、バイガエシ同様にあそこからでは無理と言えるポジション。道中で後方というのは仕方ないにしても、途中からマクって行くなり何なりして欲しかった。距離は1800mがベストかもしれないが、今日のところは策がなさ過ぎた。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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