岩田康が久々の中央重賞V 隠れた実力馬マキシマムドパリ

佐藤直文 レース回顧
愛知杯

豪快に直線一気 鞍上とともにマキシマムドパリが復活

 稍重発表の緩い馬場もあったが、前半1000m通過が61秒6というスローな流れに。2着以下に掲示板に載った馬は、いずれも好位で運んで流れを味方に付けたものだったが、勝ち馬だけは別格と言える脚を使ったものであった。

 そのマキシマムドパリは、前半は緩い流れを鞍上が巧く宥めて脚を溜める形。直線で外へ、という策も、今の中京の外差し馬場を考慮しての決め撃ちだったように思える。53キロの軽ハンデも生きたと言えるが、秋華賞3着、昨年のこのレースも4着という実力を考えれば、これが本来の走りと見ていいだろう。昨年はJRA重賞未勝利に終わった岩田康騎手にとっても、自身の復活をアピールする勝利となったはずだ。

 2着サンソヴールは、道中2番手で流れに乗り、仕掛けのタイミングもドンピシャと言えたが、今日のところは勝ち馬を褒めるしかないだろう。52キロの軽ハンデだったとはいえ、内容は十分に評価できる。

 3着クインズミラーグロは、最内枠から3番手をロスなく立ち回り、直線でも最後まで渋太く脚を伸ばしたもの。昨年のこのレースでは見せ場なく敗れていたが、当時は久々だったものであり、コース適性が十分あったと見るべきだ。

 4着マラムデールは、枠なりにロスなく運べたことと、何より50キロの軽ハンデが生きたと言える。

 5着アンジェリックも、前々で流れに乗って運べたことが好走の因だろう。

 プリメラアスールは、実力とペースを考えれば逃げ切ってもおかしくなかったが、この失速ぶりは緩い馬場が合わなかったと見るべきだろうか。ヒルノマテーラは、道中で離れた最後方を進んで、直線でも内へ。55キロのハンデが応えたのかもしれないが、それにしても覇気のない走りだったように思えた。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。