キレ味封印の極悪馬場に起こった奇跡 ラスト一冠をキセキが制す

佐藤直文 レース回顧
菊花賞
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キレ味封印の極悪馬場に起こった奇跡 ラスト一冠をキセキが制す

 雨の影響で先週の秋華賞同様の道悪になるということは事前に予測されたことだったが、これほどまでの馬場になると予想した人はほとんどいなかっただろう。馬場発表の基準は含水率によるが、ある一定の数字を超えて不良になると、そこから数値が上がっても不良のままである。同じ不良馬場だった4年前のエピファネイアが3分5秒2、対してこれ以上に時計がかかったのは戦後すぐの1946年まで遡らなければならない3分18秒9という決着タイムは、同じ不良でも不良のレベルが違っていたと言えるだろう。そんな馬場で前半1000mが64秒1というのは相当な速い流れで、実際にレースの上がりは40秒0というとんでもない数字。しかも、上がりが40秒を切ったのは勝ち馬だけという究極の消耗戦となった。

 キセキは、鞍上が意識的にだったかと思えるほどスタートをゆっくりと出て、前半は掛かることなくジックリと運ぶ形。向正面から馬群の外を回って徐々に進出したが、見えないラチがあるかのように各馬が馬場の中ほど進んだこともあって、自身はかなりのコースロスがあったと言える。それでも、直線では他馬がもがき苦しむ中で、一頭だけ力強い伸びを見せた。最大の武器は良馬場でこそのキレ味だとはいえ、こんな馬場も苦にせぬパワーを持ち合わせていたとは、まさに恐れ入った。個人的にはまだ完成途上で本当に良くなるのは古馬になってからと思っていた馬であり、これからまだまだ強くなるだろう。今後は古馬一線級との戦いとなるが、年内での引退が決まったキタサンブラックに替わって、中長距離界のエースに君臨できるはずだ。

キセキ

究極の消耗戦となった菊花賞はキセキ(左)が優勝(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着クリンチャーは、出脚が一息で本来の先行策を取れなかったが、前半の速い流れを考えればこれはこれで正解だったか。早目にいいポジションまで進出し、直線では一旦先頭に立つシーン。勝ち馬の決め手に屈したとはいえ、熾烈な2着争いで最後までしっかりと伸び切ったあたり、これまた道悪の適性が高かったと言える。

 3着ポポカテぺトルは、思ったよりも前目の位置で運び、4角では一旦手応えが悪くなったものの、最後は馬群の内側から渋太く脚を伸ばし、2着馬をハナ差まで追い詰めた。1000万勝ちに手間取ったとはいえ、春の時点で青葉賞4着と脚力は見せていた馬であり、こんな馬場も良かったのだろう。

 4着マイネルヴンシュは、道中の位置取りや進出のタイミングなど、勝ち馬をマークする形の運びだったが、直線で一旦離されてからエンジンがかかり、バテ比べだった2着以下の争いの中で最後は脚を余したと思える伸びだった。2・3着馬のように積極的に運んでいたら2着もあったかと思えたほどだ。

 5着ダンビュライトは、馬場を考えてか枠なりに外目を回り、折り合いもスムーズだった。勝負どころでポジションを上げて4角では先頭に立ったが、最後に力尽きたあたりは馬場と距離。理想は良馬場の中距離という馬だろう。

 ミッキースワローは、序盤に行きたがったところは鞍上が何とか抑え込んだが、最後の叩き合いで脱落してしまったあたりに、折り合いを欠いたツケが出たか。血統的には距離は問題ないと言えるが、気性的な面を考えれば、やはり距離が長かった。アルアインは、5着馬と同じことが言えそう。うまく折り合えて運べていたが、基本的に3000mは長い。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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