ハイラップで後続を完封 テトラドラクマが桜戦線に浮上

佐藤直文 レース回顧
クイーンカップ

“10日競馬”も仕上り良好 テトラドラクマ

 前半3ハロンが34秒6、1000m通過も57秒8というハイラップ。そして、1分33秒7の決着タイムも今の馬場を考えれば優秀と言えるが、勝ち馬はこの数字を自力で叩き出したわけであり、ついて行った馬たちが最後に苦しくなったことを考えても、かなりの価値があると見ていいだろう。

 そのテトラドラクマだが、逃げの手に出るつもりはなかっただろうが、好スタートを決めたことで無理に控えずに行った田辺騎手の好判断。自分のリズムで走れた上に、後続にも脚を使わせる形で、スローではなくとも絶妙の逃げだったように思う。いわゆる“10日競馬”で、美浦での追い切りは1本だけだったが、仕上りも良かったと言えるだろう。今後は当然、桜花賞が目標となるはずだが、同じ舞台だった未勝利勝ちも1分33秒台の好タイムだったように、時計勝負になればチャンスはあると見ていい。

テトラドラクマ

好時計で逃げ切り勝ちを収めたテトラドラクマ(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着フィニフティは、新馬戦とは一転しての速い流れでも、中団で巧く流れに乗れていた。直線では鞍上のアクションに応えるかのようにグイグイと脚を伸ばしたが、小柄ながら勝負根性の塊といった馬体で、いかにもディープインパクト産駒らしいキレ味を持っていると言える。キャリアを考えても今後が楽しみだ。

 3着アルーシャは、勝ち馬をビッシリとマークする形で、しっかりと勝負に行ってのものだけに、これは負けて強しの内容だった。本来はタメて行っての馬だろうが、今日の積極策の競馬は今後に繋がるだろう。

 4着オハナは、外を回って差す形の競馬では厳しい馬場状態だったことを思えば、そう悪くはない内容。理想はもっと瞬発力の生きる馬場だろう。

 5着マウレアは、阪神ジュべナイルFよりも速い流れを好位で追いかける形が厳しかったか。時計的な裏付けがない弱味が出た印象を受けたが、時計勝負の競馬を経験できたことは今後の糧となるはずだ。

 ツヅミモンは、状態自体は良く見えたが、これまた時計の裏付けがなかった馬であり、マウレア同様にハイラップを追いかける形がキツかったと思える。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。