桜への扉を開く弾けっぷりで 前途洋々フィリアプーラ

佐藤直文 レース回顧
フェアリーS

最内枠から瞬発力勝負を制した フィリアプーラ

 前半3ハロンが36秒1というスローな入りだったが、その後もペースが上がらなかったことで、同じスローでも前残りではなく、展開不問の瞬発力勝負となった。

 フィリアプーラは、最内枠から好スタートを切ったが、過去2戦同様に折り合い重視で後方のインを追走する形。4コーナーの手前では前に馬群が密集する厳しいポジションだったが、コーナーを斜めに出てスムーズに外へ持ち出せたことにより、溜まっていた脚を一気に爆発させることができた。速いペースだった前走とは違う流れでも、しっかりと自分の競馬ができたことには大きな意義があり、この先へ向けても前途洋々と言える勝利だろう。

フィリアプーラ

混戦を断った3番人気のフィリアプーラ(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ホウオウカトリーヌは、初のマイル戦だったが、緩いペースでも馬群で巧く脚が溜まり、2勝馬の貫録を示す伸びを見せたもの。ただ、上がりの競馬となった今回の一戦だけでマイルも大丈夫と判断するのはどうか。

 3着グレイスアンは、スローの好位という絶好のポジションで運び、直線でも一瞬は馬群から抜け出すかのシーンもあったが、上位2頭にはキレ負けしたもの。キャリアを考えてもまだこれからの馬だが、キレ味不足を補うためには戦い方を変えることも必要なのかもしれない。

 4着エフティイーリスは、直線を向いた時点では勝ち馬と並ぶ形で、伸び負けしたとはいえしっかりと脚を使っていた。自己条件に戻れば、勝ち上がるのもそう遠くはないだろう。

 5着アクアミラビリスは、道中で力んでスムーズさを欠くシーンがあり、最後に伸び切れなかったのもそのためだろう。ただ、馬体やフットワークは一級品と思える馬であり、まだ幼い気性の成長を待ちたいところだ。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。