【中山記念回顧】ヒシイグアス「復活劇」の裏で ソーヴァリアントら“凡走組”の敗因は?

佐藤直文 レース回顧
中山記念

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悲願のビッグタイトルへ 7歳馬ヒシイグアス

 非根幹距離の1800m戦で、ここからマイル路線や中距離路線を目指す馬が揃うのは秋の毎日王冠と同様のパターンだが、更に海外も視野に置いた有力馬もラインナップしての豪華メンバー。ただ、果たして中山1800mが適条件だったか、と問われれば、疑問符が付く馬もいたように思える。

 ヒシイグアスは、昨年の宝塚記念後に生死の境をさまようほどの重度の熱中症に罹った影響で、長期の休養を余儀なくされたが、プラス14キロでも太目感のない好仕上り。道中はリズム重視で運び、勝負どころから馬群の中を手応え十分に進出して、直線では進路を探しながらも身上の鋭い決め手を発揮して鮮やかに抜け出した形だ。松山騎手の冷静な手綱捌きも見事だったが、それだけ手応えに余裕があったからこそでもあり、7歳を迎えても大仕事ができる馬だろう。

ヒシイグアス

5番人気の支持に留まったヒシイグアスだが、末脚鮮やかに8ヶ月ぶりのレースを勝利

 2着ラーグルフは、枠なりに道中から外を回らされる形だったが、ロスはあってもノビノビと走れたことで、持ち前の末脚を生かすことができた。馬体の充実も目立っていただけに、まだまだ上昇が見込める馬だろう。

 3着ドーブネは、1000m通過60秒0のマイペース。直線でも二枚腰を使って渋太く粘り込むことができたのも、展開に恵まれたゆえと言える。

 4着シュネルマイスターは、4コーナーで勝ち馬の直後のポジションだったが、最内の狭いところを衝かざるを得ず、十分に脚を使うことができなかった。ただ、そこまで器用な立ち回りができるタイプでもないだけに、コーナー4回の中山1800mが合わなかったと見ることもできよう。

 5着スタニングローズは、好位でスムーズに流れに乗れていたものの、直線では伸び負け。久々の分もあっただろうが、初の牡馬一線級との戦いだったことを考えれば、悲観する結果ではない。

 ソーヴァリアントは、プラス12キロと、これまでの休み明けよりも太目が残ってしまったのが敗因の一つと考えていいが、それにしてもここまで大きく負ける馬ではなく、再度の立て直しが必要かもしれない。ダノンザキッドは、ゲートで落ち着かず道中も力みながら気性的に難しい面を出しての凡走となったが、これまた中山1800mは使うところを間違えたとも言えそうだ。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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