超一流馬の加速で3強撃破 二冠も期待できるディーマジェスティ

佐藤直文 レース回顧
日本ダービー皐月賞

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文字通りの追い風を背に ディーマジェスティが3強を撃破

 心配された雨は少量で馬場への影響はほとんどなかったと言えたが、終日強風が吹き荒れるコンディションで、ちょうど向正面で強い向かい風を受ける形。それを考えれば、1000m通過58秒4のラップは逃げた馬が暴走気味と思えるほどのハイペースであり、道中は後方待機だった1・2着馬には、直線で文字通りの“追い風”が吹いたと言える。

 ディーマジェスティは、その激流を後方でジックリと脚を溜め、勝負どころから外を回って追い上げる形。流れが向いたのは確かだが、長く脚を使っただけに並みの馬なら直線の坂を上がって止まっていたはずだ。しかし、そこからの加速は超一流馬でないとできない芸当。不利と思われた大外枠も、自分のリズムで馬場のいいところを選んで走れた分、良かったのだろう。共同通信杯勝ちが正当に評価されずの人気薄であったが、当時が8分どころか6~7分のデキだったとのことであり、もともと“ダービー向き”という陣営の認識を考えても、二冠への期待が大きく膨らんできたと言える。

ディーマジェスティ

一頭違う脚を使って大外を突き抜けたディーマジェスティ(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着マカヒキも、道中は後方で脚を溜めて、勝ち馬の後を追う形で進出する理想的な競馬ができた。3強を形成したライバル2頭をキッチリと差し切る完璧なレース運びだったが、唯一の誤算はその前にいた1頭が止まらなかったということ。これまた、小回り中山よりも東京でこそのタイプであり、ダービーで本領発揮となる可能性も高い。

 3着サトノダイヤモンドは、中団で流れに乗って運んでいたが、直線で抜け出しを図ろうとしたところで弾かれる不利。ただ、今までのレースでは見せていたラストでギアがもうワンランク上がるシーンがなかったことも確かだ。このあたりは、レース間隔が空いていた影響があったのかもしれない。今日の厳しい競馬を経験したことも糧にできれば、ダービーでの逆転も十分可能だろう。

 4位入線(5着降着)のリオンディーズは、前述したハイラップを2番手から追い駆けて、3角で先頭に立つ形。掛かっても無理に抑えずに馬の行く気に任せたものだが、キレ味勝負では分が悪いとの判断も鞍上にはあったように思えた。ただ、それにしても今日の流れは速過ぎた。これまた並みの馬なら馬群に沈んでおかしくはないのに、上位に踏み止まっていたことを評価すべきで、気性面の課題さえクリアできればダービーでの巻き返しがあっていい。

 繰り上がり4着のエアスピネルは、そのリオンディーズを目標に進出して、並びかけたところで不利を受けたもの。好位勢にも厳しい流れの中でここまで走れば立派である。この世代に生まれた不幸を嘆くしかないが、改めてGI級の能力を示したと言え、あとは脚の使いどころひとつ、というレベルまで来ている。

 マウントロブソンは、これまたリオンディーズを追い駆ける厳しい流れ。レース後に、Tベリー騎手が直線で前をカットしたデムーロ騎手に対して怒りを露にしていたようだが、そこまでの不利ではなく、実際に審議の対象にもなってはいなかった。上位とは現時点での力の差だろう。ロードクエストは、道中で内に潜り込み、直線でも決め撃ちのイン狙いであったが、らしい伸びを見せなかった。結果論ではあるが、後方待機の直線勝負に徹するべきではなかったか。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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