【桜花賞回顧】「ビワハイジらの血」生きたエンブロイダリー 5着エリカエクスプレスには“2つの敗因”

佐藤直文 レース回顧
桜花賞

強かった&巧かった ハイジの曾孫エンブロイダリーが桜の女王へ

 内枠から好スタートを切った1番人気馬がハナを切る少し意外な展開となったが、稍重発表の馬場で前半1000m58秒6は水準以上に速めのペースであり、前半に脚を温存できた差し馬向きの流れになったと言える。

 エンブロイダリーは、促されての中団から馬群の中で折り合いを付けての追走。直線を向いてからは、進路を切り替えながら脚を伸ばす今までにない器用さを見せて、先に抜け出していた2着馬を鮮やかに差し切って見せた。このあたりは、マジックマン・モレイラの面目躍如といった感も受けたが、父アドマイヤマーズや、ビワハイジを曾祖母に持つ母系から、阪神コース適性を受け継いだ血統背景もまた見逃せない。今日の馬場で1分33秒1の走破時計もかなり優秀で、早目の栗東入りで体調を整えたことも功を奏した。

エンブロイダリー

モレイラ騎手に導かれた3番人気エンブロイダリーが桜の女王に

 2着アルマヴェローチェは、道中は馬込みで競馬ができていて、直線で外に持ち出して一旦は抜け出す形。最後は追い比べに屈したが、阪神JF以来の久々でプラス12キロの馬体に太目感はく、力は出し切れたと見る。

 3着リンクスティップは、初のマイルで追走に苦労し、4コーナーも大外を回るロス。上位2頭に決定的な差を付けられたとはいえ、距離が延びればその差も埋まりそうだ。

 4着マピュースは、内をロスなく立ち回っての善戦だったが、前走クイーンCのレベルが高かったことも証明する走りだったか。

 5着エリカエクスプレスは、けっして暴走ではなく自分のリズムで気分よく逃げていたように映ったが、やはりオーバーペースだったか。馬場もパンパンの良馬場でこそのタイプかもしれない。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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