新境地開拓も無念の骨折 秋に期待プラチナムバレット

佐藤直文 レース回顧
京都新聞杯

好相性マンハッタンカフェ産駒 プラチナムバレット

 レース序盤こそ離し逃げの展開となったものの、中盤はペースが緩んで1000m通過が62秒1。後続グループにとっては超の付くスローペースであり、良馬場では過去10年で最も遅い2分15秒2という決着も、例年よりも小粒なメンバーのせいだけではないだろう。

 プラチナムバレットは、いつもよりは後ろの中団の位置取りで運んだが、ペースが上がった3コーナー過ぎからの反応が悪く、ポジションを落として直線を向いた形だったが、今までにない末脚を見せて新境地を開拓したもの。開幕当初に比べて少し外が伸びる馬場になっていたことも幸いしたと思えるが、近年の好走が目立っていたディープインパクト産駒が今年は不在だった中で、実は過去10年で3勝というマンハッタンカフェ産駒が存在感を見せたと言える。レース後の骨折判明は残念だが、秋に期待したい。

プラチナムバレット

快勝もレース後に骨折が判明したプラチナムバレット(桃帽)(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着サトノクロニクルは、3~4角で仕掛けた5着馬の動きに併せて進出したものの、手応えでは明らかに見劣っていた。ただ、直線ではうまく馬場の内目に入れて、鞍上が闘争心に最点火させたもの。ハーツクライ産駒らしく、キレるタイプではないが長くいい脚を使える馬で、今後も順調に成長すれば、いずれは大舞台でも活躍できるだろう。

 3着ダノンディスタンスは、前々で運んで直線では一旦先頭に立つシーン。最後はキレ負けした形だが、これまたルーラーシップ産駒の特徴であり、持ち前の渋太さが生きる競馬になれば今後も目が離せない。

 4着サトノリュウガも、ハービンジャー産駒らしく、ラストにキレ負けした形だが、4ヶ月ぶりの久々を考えれば、よく走っている。次は確実に変わりそうだ。

 5着ミッキースワローは、3角からの下り坂を利して一気に進出し、直線を向いても突き抜けるかの手応えだった。最後に止まったのは先に動いたせいもあるが、序盤で掛かった分だろう。素質の高さは存分に示す内容で、先々が楽しみな馬である。

 インヴィクタは、道中のポジションが後ろ過ぎたこともあったが、直線を向いた時点では勝ち馬と並ぶ位置だった。もっとキレるイメージのある馬だが、これまたハービンジャー産駒。使える脚に限界があるのかもしれない。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。