ディアンドルには「資格あり」 一貫した使われ方で拓けた展望

佐藤直文 レース回顧
葵S

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1200m戦5連勝で重賞V ディアンドル

 昨年から重賞に昇格したレースだが、この時期の世代のスプリント戦は、2歳時の短距離重賞で実績を残してきた馬や、桜花賞路線を歩んできた馬など玉石混交の状態で、まだ距離適性自体も手探りの状況の馬が多い。ただ、オープン特別時代の勝ち馬にロードカナロア、2着馬にもカレンチャンと、GIを制したスプリンターが名を連ねていることを考えれば、ここからチャンピオンスプリンターへの道を拓くことも可能な一戦。特に、デビュー以来、一貫してこの距離を使い続けてきた勝ち馬には、その資格があるのではないだろうか。

 そのディアンドル。抜群のスタートから行きたい馬を先に行かせて好位のポジションに収まったあたりは、相当なレースセンスを示すもの。直線では大外強襲の2着馬にアタマ差まで迫られる辛勝ではあったが、着差以上に余裕の感じられる勝ちっぷりだった。あくまで現状での話ではあるが、極端に速い上がりを使うタイプではないので、今回の京都のような直線平坦のコースよりも、坂のある中京や中山の方が合うかもしれない。当然、前述したように今後はスプリントGIへの展望を拓くことができよう。

ディアンドル

追撃を凌いだディアンドル(赤帽)が5連勝のゴール(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着アスターペガサスは、中団の外目で流れに乗り、直線で一気に脚を使った函館2歳Sを勝った時と同じパターンだったが、今日のところは相手が一枚上だった。その函館2歳Sのあとは、距離を延ばしたりダートを使われたりしてきたが、やはり芝1200mの差し馬。今の京都の馬場傾向では厳しいかと思えた外枠も、この馬には良かったと言える。

 3着アウィルアウェイは、勝ち馬をマークする位置取りで、直線もスムーズに捌いて脚を伸ばしたが、差を詰められなかったもの。ただ、レースぶりには進境を見せた内容で、距離も1400mあたりがベストではないだろうか。

 4着ディープダイバーは、この馬なりに伸びてはいたが、道中で同じ位置にいた2着馬ほどの脚を使えなかったあたりは、距離適性の差か。ベストは1400mか1600mの馬だろう。

 5着ケイアイサクソニーは、単騎ではなく並んでの逃げだったとはいえ、テン34秒0はそこまで速い流れではなく、渋太く粘り込めたもの。内枠から逃げた馬が粘り込むのはこのレースの特徴でもある。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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