前走条件戦の馬が上位独占 7着レッドジェニアルは「長い目で…」

佐藤直文 レース回顧
日経新春杯

格上挑戦 モズベッロの下克上

 形の上では春の天皇賞を頂点とする古馬長距離路線のステップレースであるが、有力馬の使い出しとしては少し早過ぎる時期であり、近年はハンデに恵まれる条件上がりの馬や格上挑戦の馬たちの好走が目立つ一戦だ。そして今年もまた、終わってみれば上位入線の3頭はいずれも前走で3勝クラスに出走していた馬たちであった。

 モズベッロは、スタートからポジションを取りに行って中団のインで前を見ながら流れに乗る形。3~4コーナーの勝負どころでスムーズに外へ持ち出した鞍上も巧かったが、スッと反応してみせたあたりは、やはり52キロの軽ハンデも利いていただろう。それにしても、直線で一気に抜け出しての2馬身半差は完勝と言える内容。3勝クラスで4着と敗れた前走はポジション取りの悪さで勝ち損ねた印象も受けただけに、定量戦に替わってもこの路線では目が離せなくなったと言えよう。

モズベッロ

ハンデ52キロの4歳馬モズベッロが優勝(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着レッドレオンは、抜群の手応えで直線を向きながら、前が詰まって進路を外に切り替えるロスがあった。ただ、もう少し早く仕掛けていれば不利を受けなかった可能性もあり、いずれにしろ勝ち馬とは着差ほどの力の差はないはずだ。これまでは休み休みでの出走で出世が遅れたが、順調に使えるようなら、勝ち馬同様にこの路線で注目すべき存在となるだろう。

 3着エーティーラッセンは、マイペースの逃げと51キロのハンデを利しての粘り込み。相手がどうこうではなく、自分の形で運べば今日のような渋太さを発揮できる馬だ。

 4着タイセイトレイルは、勝負どころから外を回って追い上げて行ったが、今ひとつ弾けなかったのはプラス14キロの重目残りだった分もあったか。むしろそういった状態でも崩れなかったあたり、力は示したと言える。

 5着プリンスオブペスカは、4コーナーでの手応えの割りには渋太く踏ん張っての入着。少し時計のかかる馬場で追ってバテない強みを生かした形だ。

 レッドジェニアルは、出遅れて今日のペースで後方からでは厳しかったと言えるが、気性的にもまだ競馬を教えて行く段階かもしれず、長い目で見たいところ。アフリカンゴールドは、去勢の効果を示したここ2走とは対照的に、道中の走りに力みが見えた。重い馬場も良くないタイプかもしれないが、気性的にアテにならない面が残る。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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