横山典マイラプソディに本来なら… 三冠達成はファンの前で

佐藤直文 レース回顧
日本ダービー

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府中の直線に一閃のコントレイル

 先週のオークスに続いて、想定タイムよりも遅い2分24秒台の決着となったのは、ひとえに前半1000m通過が61秒7という超スローになったため。向正面では、業を煮やしたマイラプソディ横山典騎手が一気に先頭に立つという、通常の開催であれば観衆がどよめいたはずのシーンもあったが、いずれにしろ今日のペースを、大本命馬が好位で立ち回ったのであれば、他馬に出番がなくて当然だった。

 そのコントレイル。スタートから出して行ったことで、少し掛かりそうになるシーンもあったが、しっかりと抑え込んで好位のインに収まった。マークされる立場となるのは承知の上で、皐月賞のような想定外の形ではなく、自分の競馬ができさえすれば後続を封じ込めるという鞍上の自信の表れでもあったろう。実際に、直線半ばではサリオスが外から馬体を併せにかかったが、そこでトップギアに入れて並ぶことなく突き放したあたりは、まさに力が違ったと言うしかない。秋はもちろん、父と同じ道を辿ることになるはずだが、史上8頭目の三冠達成のシーンは、是非ともファンが見守る中で、と願わずにはいられない。

コントレイル

3馬身差をつけて無敗の二冠を達成したコントレイル

 2着サリオスは、折り合い重視の待機策は予定通りだったと思えるが、惜しむらくはもう少しペースが上がって欲しかったところだろう。皐月賞での半馬身差は3馬身と広がってしまったが、中団以降から外を回って伸びてきたのはこの馬だけであり、改めて世代ナンバー2の力は示したように思う。

 3着ヴェルトライゼンデは、道中は勝ち馬を見る形で流れに乗り、直線でも手応え以上に渋太く脚を伸ばしたもの。上位2頭との力の差は歴然としていたが、皐月賞からよく立て直されての好走だった。

 4着サトノインプレッサは、NHKマイルCから中2週の強行軍ながら、パドックでも抜群の気配。枠なりにロスなく運べたこともあったが、直線では進路を探しつつ脚を使って見せたもので、これは秋が楽しみなる内容だった。

 5着ディープボンドは、コルテジアとともにコントレイルの先導役を務めたような積極策だったが、スローな流れもあって手応え以上に渋太く粘り込んだ形だ。

 ワーケアは、中団から伸びずバテずの流れ込みだったが、こんな馬ではないはずであり、皐月賞をパスしたものの万全の態勢ではなかったと言えるだろう。サトノフラッグもまた、位置取りが厳しかったとはいえ、本来の反応が見られなかった。皐月賞での敗戦が尾を引いていたかとも思えるが、じっくりと立て直して秋には巻き返してもらいたい一頭だ。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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