良馬場でも結果は「覆らない」 4着サートゥルは弱点露呈

佐藤直文 レース回顧
宝塚記念

雨と完全本格化で6馬身 クロノジェネシス

 昼過ぎには一旦、良馬場へと回復した芝コースだったが、10レースの発走直前に短時間ながらモノ凄い雨に襲われた。発表はひとつ悪化しての稍重であったが、雨が乾き切らずに滑るような馬場で、その適性が結果にはっきりと表れたように思える。

 クロノジェネシスは、外目の枠もあってかここ2戦のようなポジションを取れなかったが、中団の外目を余裕の手応えで追走。3コーナー過ぎからは馬なりのままジワッと進出し、直線を向いて追い出されると後続との差をグングン開いての独走だった。道悪巧者が直前の雨を味方に付けたことを割り引いたとしても、自分の競馬でこれだけの強さを見せたのであれば、完全本格化と言えるだろう。2着に付けた6馬身差は、たとえ良馬場だったとしても覆らなかったはずだ。

クロノジェネシス

2番人気クロノジェネシスが他馬をちぎり捨てての圧巻V

 2着キセキは、出遅れて後方からとなったものの、出たなりでの折り合い重視はおそらく当初からのプラン通りだったか。これまた3コーナーから勝ち馬と併せるようにマクって行き、直線でもしっかりと脚を伸ばして現状での力は出し切ったと言えるが、はるか前方に強い馬が1頭いたということだ。

 3着モズベッロは、道中は勝ち馬を前に見るポジションで運び、その仕掛けに付いて行くことこそできなかったが、直線でも渋太く脚を伸ばしたもの。馬場も味方に付けたとはいえ、2200mは距離不足とも思える馬だけに、地力強化をアピールする走りだったか。

 4着サートゥルナーリアは、緩い馬場で行き脚が付かず、枠なりに中団のインを回る形。3コーナーからようやく馬場のいい外目に持ち出されて、懸命に前を追ったものの、最後は長くいい脚を使えないウィークポイントも露呈して馬券圏内を確保できなかった。仕上げに抜かりはなく、当日の落ち着きもあっただけに、今日のような馬場が合わなかったにせよ、物足りないレースぶりであった。

 ラッキーライラックは、自分のポジションで競馬ができ、勝ち馬の進出に抵抗して動いて行ったが、直線を向いたところではもう手応えがなかった。道中でも鞍上に気合を付けられるシーンがあったあたり、道悪はダメな馬だろう。グローリーヴェイズは、プラス14キロの数字ほど馬体は太く見せなかったが、これまた馬場が合わなかったにしろ、ここまで負ける馬ではなく、他にも敗因がありそうだ。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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