【スプリンターズS回顧】快挙の裏で、メイケイエールにいったい何が… “絶好”からまさかの大敗

佐藤直文 レース回顧
スプリンターズS

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7歳にして掴み取ったビッグタイトル ジャンダルムが見事なまでの母子制覇

 決着タイムの1分7秒8は、全体的に時計がかかる最終週に組まれるこのレースとしてはそこまで遅くはないのだが、さほど状態に変わりはなかった前日土曜の古馬2勝クラスが1分7秒7だったのなら、少し時計がかかり過ぎと見ていい。この時計の決着であれば、余計に立ち回りの巧拙が結果を左右したと言えるだろう。

 ジャンダルムは、一番のスタートを決めた上で行きたい馬に先を譲っての好位3番手。枠順にも恵まれたとはいえ、逃げた馬に並びかけた4コーナーでの手応えは、その時点で勝ち負け確定と思えたほどだった。最後は詰め寄られはしたが、内容的には完勝。外枠を引いて何もできなかった前走とは対照的に、抜群の立ち回りで7歳にして母子制覇を成し遂げた。

ジャンダルム

人馬ともにGI初制覇、ジャンダルムと荻野極騎手

 2着ウインマーベルは、スタート直後にゴチャついて思い通りのポジションを取れなかったが、直線では急坂の途中で馬群を割って勝ち馬に際どく迫ったもの。来年は主役として戦える馬だろう。

 3着ナランフレグは、序盤はいつも通りの後方からとなったが、枠なりにロスのない立ち回りで、直線でも馬群を捌きながらの鋭い伸び。結果3着でも高松宮記念勝ちがフロックではなかったことを証明する走りだった。

 4着ダイアトニックは、内枠を利して勝ち馬の後ろのポジションに収まり、直線でも見せ場を作ったが最後は決め手の差で伸び負けたもの。時計のかかる馬場も味方に付けての好走だった。

 5着ナムラクレアは、前走の北九州記念は枠順も厳しく思うような位置で運べなかったが、今日の枠なら函館スプリントSのような積極的な競馬もできたのではないか。結果的に4コーナーであれだけ外を回らされては、ここまでが精一杯だったか。

 シュネルマイスターは、そこまでの速さではなかった今日の流れでも付いて行けなかったあたり、やはり1200mの馬ではなかった印象。メイケイエールは、パドックでも絶好の気配に映ったが、やはりレコード勝ちの反動が出てしまったか。先週土曜の坂路で叩き出した好時計も元気のいい証拠と思っていたが、3~4コーナーの勝負どころで鞍上に促されながらも反応できなかったあたり、状態が本物ではなかったと見るべきだろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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