スタート前から独壇場 千両役者ゴールドシップが6つ目のタイトルを獲得

【佐藤直文 先週のレース回顧】
過去2回は、5、7着と敗れているゴールドシップには鬼門と言えた天皇賞(春)。ゲート入りを嫌がり、向正面で一気に進出する“らしい”パフォーマンスで、見事に輝きを取り戻した。

佐藤直文 レース回顧

千両役者が6つ目のタイトルを 【天皇賞・春】

 逃げるか、もしくは途中から一気に進出してハナへ立つ。おそらくそれがゴールドシップの横山典騎手が立てた作戦かと思われるが、長距離戦としては序盤の流れが厳しく、行けないと判断した時点で、後者の作戦を選択した形だ。そして、向正面でステッキを入れて一気に動いたわけだが、それにより全体のペースもアップし、この馬には理想的な、上がりのかかる消耗戦となった。

 ゲート入りをてこずるなど、スタート前から“役者ぶり”を見せていたゴールドシップだったが、最後まで独壇場。次走となる自分の庭、阪神での宝塚記念では、さらに派手な大見得が期待できそうだ。

 2着フェイムゲームも、東京のマラソンレース、ダイヤモンドステークスを連覇しているように、消耗戦で最大限の力を発揮できるタイプ。ただ、6着だった昨年よりもパワーアップした姿を見せ付けたと言える。

 3着カレンミロティックは、ゴールドシップに早目に来られ、同じく前へ行ったクリールカイザースズカデヴィアスがブービーとシンガリという厳しい流れを渋太く粘り込んだのだから大したもの。

 1番人気のキズナは、自分の競馬に徹してのこの結果を見る限り、往年のデキにないのではないかと思える。

 アドマイヤデウスは、1週目スタンド前でハミを噛んで掛かってしまったのが全てで、サウンズオブアースも同様に折り合いが一息だった印象。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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