完勝アウォーディーと強い2着アスカノロマンは、ともにGI級の器

佐藤直文 レース回顧
アンタレスS

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妹や弟には負けられない アウォーディーが次なるステージへ

 注文通りにショウナンアポロンがハナを奪ったものの、アスカノロマンに終始突つかれる形で、前半1000mが60秒4のラップ。ショウナンにとっては前走のマーチSよりも3秒近く速い流れでは失速も止むを得なかったが、これだけの流れであれば、決着も実力通りで、上位人気5頭が掲示板を占める形となったのも頷ける。

 アウォーディーは、ここ2戦ほどの楽勝ではなかったものの、これは2着馬の抵抗を褒めるべきで、内容的には完勝と言っていい。天皇賞馬の母へヴンリーロマンスはダートに良績はなかったものの、妹に牝馬交流重賞を勝ちまくるアムールブリエ、そして弟にUAEダービーを勝ってケンタッキーダービーに駒を進めるラニと、父はそれぞれ替わってもダートの一流馬を輩出し続けている。この馬もこれでダートは4戦無敗であり、間違いなくこの先はGIを勝てる器だ。

アウォーディー

ダート転向後は負けなしの4連勝となったアウォーディー(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着アスカノロマンは、前述したハイラップを追走してこれだけ粘ったのだから、これまたGI級の能力を示したと言っていい。ただ、4コーナーで少し後続を待ったところがあり、あそこで早目先頭で後続を引き離していれば、追撃を凌げた可能性がある。いずれにしても、強い2着だ。

 3着サージェントバッジは、大敗の前走からここまで変わり身を見せるとは、正直思わなかったが、後方でジックリと脚を溜める形で、上がり3ハロンは最速タイ。3走前まで騎乗していたデムーロ騎手が完全に手の内に入れている印象を受けた。

 4着クリソライトは、2、3番手で運ぶ形が理想の馬だが、もともとテンのダッシュが利くタイプではなく、最内枠では自分の競馬ができなかった印象。ただ、最後は脚を伸ばしており、悪い内容の競馬ではなかった。むしろ、脚質に幅が出たという点で、中央の重賞戦線でも戦えるメドが立ったと言える。

 5着ロワジャルダンは、少し前へ行き過ぎたか。流れに乗れていたように見えるかもしれないが、スローペースならこれで良くても、さすがに今日の速い流れでは脚が溜まらなかった。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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