ハイラップで他馬を絡ませず メジャーエンブレムが1ヶ月遅れの開花

佐藤直文 レース回顧
NHKマイルカップ

自分の競馬を貫いて メジャーが1ヶ月遅れの開花

 約3ヶ月前のクイーンカップで、今回同様に逃げたメジャーエンブレムの前半3ハロンから1000mまでのラップは、34秒4-46秒1-57秒8だったが、今回も、34秒3-46秒0-57秒7というほぼ同じ数字を刻んだ。クイーンカップ当時よりもクッション性の利いた馬場を考えれば、かなり速いラップであり、何も絡んで行かなかったのではなく、絡ませなかったと言える。追いかけていった馬には、当然厳しい流れであった。

 メジャーエンブレムが、そのクイーンカップよりも、上がり3ハロンでコンマ4秒、決着タイムでコンマ3秒かかったのは、前述したように馬場差の分であり、桜花賞とは違って本来の競馬に徹したことで、フルに力を出し切ったと言えよう。ただ、楽勝と言える着差ではなかったのは、相手のレベルも上がっていたためであり、今日は逃げ切れるギリギリのラップだったように思える。今後は、距離延長や、相手のレベルがさらに上がったところで、どれだけスピードをコントロールできるかだろう。

メジャーエンブレム

自分の競馬に徹して桜花賞敗戦の鬱憤を晴らしたメジャーエンブレム(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ロードクエストは、早目に動いてラストで失速した皐月賞を糧として、今回は後方から、これまた自分の競馬に徹した形。直線では外へ持ち出して、本来の力を出し切ったと見ていいが、これで届かなかったのは勝負のアヤと言えるレベルだったか。単勝人気では意外と差を付けられていたが、勝ち馬との能力差はなく、自分でレースを作れるか否かの差であろう。

 3着レインボーラインは、大外枠ではあったが、うまく流れに乗って運び、最後まで粘り強く脚を伸ばしていた。前走のニュージーランドTで5着に敗れ、評価を落とした形ではあったが、あの一戦は不利が響いたもの。上位2頭が強かったことを考えても、力を示したと言える。

 4着ダンツプリウスは、前目で運んだ馬の中では一番の粘り。ニュージーランドT勝ちがさほど評価されてはいなかったが、アーリントンCでは3着馬とハナ差だったように、これくらいは走っていい馬であろう。

 5着トウショウドラフタは、直線で馬群を割って脚を伸ばしたが、もうワンパンチ足りなかった印象。やはりマイルが微妙に長いのかもしれない。

 単勝3番人気の支持を集めていたイモータルは、好位勢には厳しい流れだったこともあったが、現状では力不足の感が否めない。◎に推したアーバンキッドも同様で、勝ち馬の直後を手応え良く追走していたように見えたが、オーバーペースと力不足だったか。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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