【宝塚記念回顧】“クビ差の完勝”イクイノックス 4着ジェラルディーナは「理解できる奇策」
これが世界規格の強さ イクイノックスが大外から力で捻じ伏せる
中間の降雨の影響もあったか、良馬場でも少し時計のかかる状態での前半1000m58秒9は、やや速めのラップ。実際に先行勢が壊滅の流れで後方待機組に展開は向いたとはいえ、勝ち馬の強さはやはり別格だったと言わざるを得ない。
そのイクイノックス。スタート後にポジションを取りに行きかけたものの馬場の緩い内で包まれるのを嫌ってか後方に下げての競馬となったが、落ち着いて自分のリズムでの追走。3コーナーからは大外を回って進出する形で、4コーナーでもタイトな内回りで大きく外へ膨れ加減だったが、力で捻じ伏せるように先頭に立つと、ゴール前こそ内から2着馬の強襲に遭ったとはいえ、着差以上の力の違いを見せての完勝だった。初の関西圏での競馬で、長距離輸送のリスクを避ける意味での早目の栗東入りを選択した陣営の思惑通りに、隙のない仕上げ。どういう競馬になっても、リラックスして走ることができれば世界規格の強さを示すことができることを、改めて証明したと言える。
2着スルーセブンシーズは、道中は勝ち馬を前に見る形で運んだが、直線で一旦は進路を失いながらも内に進路を切り替えて鋭く伸びたもの。これまた栗東に滞在しての好仕上りに加え、展開も向いたとはいえ、この先まだまだ強くなりそうな感を受けた。
3着ジャスティンパレスは、長距離戦を使われてきたこともあってか、自分のポジションで運ぶことができなかったが、最後はよく差を詰めて天皇賞馬としての貫禄は示した。
4着ジェラルディーナは、3コーナー手前から一気に動いて直線を向く競馬で、結果的にはもう少し溜めていれば、という印象を受けた。ただ、勝ち馬と一緒に動く形では敵わないという意味では奇策もまたアリだったか。
5着ディープボンドは、3着馬同様に良馬場2200mの速い流れで自分の競馬ができなかったが、直線で渋太く粘って力は示した。
アスクビクターモアは、前の組には厳しい流れだったとはいえ、ここまで大きく崩れたのは昨秋の状態になかったと見るべきであり、ここ2走の敗因も馬場などの影響ではないと判断できる。
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