【中京記念回顧】「胸のすくような好騎乗」セルバーグ松山が“逃げ求めた”テーマ

佐藤直文 レース回顧
中京記念

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スムーズに運んで能力全開 セルバーグが逃げて後続を完封

 押して押してハナを奪った逃げ馬が刻んだラップは、前半3ハロン34秒6、1000m通過が57秒4。荒れてきた最終週の馬場を考えると、けっして楽なペースの逃げではなかったが、テーマがスムーズな競馬だったのであれば、これ以上ない展開であったろう。

 そのセルバーグ。オープンへの昇級戦となった2走前は道悪で全く動けず、前走も直線で不利を受けて力を発揮できなかった形だったが、その前走でも手綱を取った松山騎手が選択した逃げの手が、まずは最大の勝因だったか。スムーズさを欠くと持ち味を発揮できないタイプが多いエピファネイア産駒でもあり、55キロの手頃なハンデも相まって、胸のすくような好騎乗の逃げ切りであった。

セルバーグ

8番人気セルバーグが後続に1馬身半の差をつけて逃げ切りV

 2着ディヴィーナは、今回もまたジックリ運んで末を生かす競馬。もっとペースが流れてくれれば、といったところだったが、3着以下に決定的な差を付けての2着確保なら、この先の重賞でもチャンスがある。

 3着ルージュスティリアは、厳しいと思われた大外枠から巧く流れに乗れていたが、4コーナー手前で躓いてポジションを下げてしまったのが痛かった。

 4着ウイングレイテストは、最後までしっかりと脚を伸ばしていたものの、決め手比べとなっては見劣る馬だけに、もう少し前で積極的に運ぶ形が理想だったか。

 ダノンスコーピオンは、59キロを背負っていたとはいえ、後方から全く見せ場がないようでは、復活までにはまだ時間を要しそうだ。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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