【関屋記念回顧】2着ディヴィーナは直線で「誤算」 “利”を生かした戸崎圭アヴェラーレ

佐藤直文 レース回顧
関屋記念

盛夏に弾けた5歳牝馬勢 絶妙の立ち回りでアヴェラーレが制す

 昨年は稍重発表の馬場で前半1000m通過が60秒3という超スローペースでの前残り決着だったが、今年は1000m通過が2秒速い58秒3だったとはいえ、馬場を考えればこれでもスローな流れ。今年もまた、後方待機からの直線勝負や外を回る形の競馬では厳しい展開となった。

 アヴェラーレは、枠なりに好位のインに収まってジックリと脚を溜めながらの追走。直線を向いてからはしばらく追い出しを待たされる形となったが、進路を見つけて馬群を割ると先に抜け出していた2着馬をゴール前でキッチリと捉えてみせた。夏場はあまりいいイメージがなく、今回も大幅に馬体が減っていたが、ギリギリの状態に仕上げられたものであり、戸崎圭騎手も内枠の利点を最大限に生かした上手な立ち回りだった。

アヴェラーレ

4番人気のアヴェラーレが2番枠から見事に立ち回り重賞初制覇

 2着ディヴィーナは、勝ち馬よりも一列前のインで流れに乗り、前走で捉えなれなかった逃げ馬をマークしての追走。ただ、直線ではその逃げ馬が早目に脱落したことで先頭に押し出されてしまい、後続の目標となってしまったのが痛かったか。勝ち馬の競馬が理想だったとも言えるが、勝ちに行っての2着確保は力の証明だろう。

 3着ラインベックは、外枠からでも序盤でしっかりとポジションを取れたことが好走の最大の因だったが、状態自体も良く見え、ベストの平坦マイルで力を出し切れた。

 4着フィアスプライドは、展開的には厳しい位置取りだったが、直線ではよく差を詰めた形。このくらいは走っていい馬であり、重賞でもこの先どこかでチャンスがありそうだ。

 ララクリスティーヌは、理想的なポジションで運べていたが、追い出されてピリッとした脚を使えず、状態自体が本物ではなかったか。ロータスランドは、好スタートを切りながら行きたい馬を行かせて好位に控える形だったが、直線半ばで気持ちが切れたかのような失速。現状では逃げて気分良く行かせる方がいいのかもしれない。アナザーリリックは、ゲートでのアクシデントが全て。久々で気性面の難しさを改めて露呈してしまった。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。