【弥生賞ディープ記念回顧】トロヴァトーレ敗因は馬場? 「波乱の一戦」でも勝ち馬には“地力”あり

佐藤直文 レース回顧
弥生賞

ジョッキーの好判断&それに応えた機動力 合わせて一本コスモキュランダ

 朝の段階での稍重から8R以降は良馬場へ回復したとはいえ、見た目にも回復途上と思える渋った馬場。瞬発力が削がれる状況を見越して早目に動いたジョッキーの好判断に加え、それに応えるだけの機動力が、伏兵の勝利を呼び込んだと言える。

 そのコスモキュランダ。課題のスタートこそ一息だったが、今日のような渋った馬場も全く苦にすることなく、リズミカルな追走。1000m通過ラップは60秒4と、そこまで遅い流れではなかったものの、3コーナーから仕掛けて動いて行ったのは前述したようにデムーロ騎手の好判断であり、機動力をフルに生かし切っての鮮やかな勝利だった。ただ、早目にマクったにもかかわらず末脚を持続したのは、地力なくしてはできない芸当。本番も今日のような馬場になったとしたら、十分にチャンスはあるはずだ。

コスモキュランダ

6番人気のコスモキュランダが早目進出から後続を完封

 2着シンエンペラーは、馬場のせいもあったかもしれないが、追われてジリジリというのは相変わらず。ただ、好位から上手に立ち回り安定して力を発揮できた点は評価でき、本番に望みを繋ぐレースぶりだった。

 3着シリウスコルトは、勝ち馬に早目に来られる厳しい形の逃げとなったにもかかわらず渋太く粘り込んだもの。コースと馬場の適性を遺憾なく発揮したと言える。

 4着エコロレイズは、ロスのない立ち回りで、直線でもよく前との差を詰めたもの。これまたコース適性の高さを示す走りだった。

 トロヴァトーレは、折り合いに苦労したこともあってか、直線ではもう手応えがなかったが、今日のような馬場も良くなかったのかもしれない。ダノンエアズロックは、前を射程に置いていい感じで4コーナーを回ったが、直線では右手前のまま伸び切れなかったもの。気性面も含めて課題の残る結果となった。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。