【日本ダービー回顧】横山典「大英断」からの完勝劇 2着ジャスティンミラノは“距離”も敗因か

佐藤直文 レース回顧
日本ダービー

「信頼」が生んだヒーロー ダノンデサイルが内から鮮やかに突き抜ける

 皐月賞でレコード決着を演出する逃げを打ったメイショウタバルの出走取消により、ペースが落ち着くことは想定内だったが、1000m通過62秒2というのは思った以上の遅い流れ。レースの上りが33秒8という決着では、後方待機組に出番がなかったのも当然と言えただろう。

 ダノンデサイルは、スタートから出して行って好位のイン。今日の流れではベストポジションで、しかもピタリと折り合って脚を溜める形だった。直線でもそのままラチ沿いを捌き、ペースを考えれば完勝と言える2馬身差は、立ち回りのみならず能力もしっかりと誇示した勝利だったように思う。無念の競走除外となった皐月賞は、目に見えたアクシデントがあったわけではなく、発走前の輪乗りで横山典騎手が違和感を覚えて申し出たもの。タラレバの話ではあるが、そのまま出走していれば、大きなダメージを負った可能性も高く、そもそもここへ出走できていなかっただろう。大事を取った上でここへ向けてしっかりと乗り込んで状態を立て直した史上最年少ダービートレーナーと、史上最年長ダービージョッキーとの信頼関係がもたらしたヒーローの誕生だった。

ダノンデサイル

内から抜け出した9番人気ダノンデサイルがそのまま2馬身差をつけて栄光の座に

 2着ジャスティンミラノは、こちらも出して行って道中は勝ち馬の外という絶好のポジションだったが、直線で先行勢の外へ進路を取って残り1ハロンでそれを交わした時点で、すでに内から勝ち馬が抜けていた。もう少し機敏に動けていれば勝つのはともかく差は詰まったかにも思えるが、動けなかったのは2400mは微妙に長かったためかもしれない。

 3着シンエンペラーは、序盤に掛かり気味になったところで馬込みに入れて我慢させる形となったが、その分だけ位置取りも後ろになり、最後はよく伸びてきたが脚も余し気味となってしまった。自分の競馬ができなかった中でのこの結果は、改めて能力を示すものだろう。

 4着サンライズアースは、向正面で一気に進出したのは、折り合いを欠いてのものではなく、ペースを考えた鞍上の好判断。最後は瞬発力の差で屈したとはいえ、持ち味は生かし切ったと言える。

 5着レガレイラは、元々スタートが速くない馬だけに内枠が厳しかったと言えるが、できればもう1、2列前で運びたかったところだろう。4角後方の最内から直線で大外まで持ち出すロスがあってのこの結果は、これまた能力なくしてはできない芸当だったか。

 コスモキュランダは、4着馬同様に早めに動いたのは正解だったと言えるが、直線で伸びを欠いたのは距離が長かったためか。シックスペンスは、ポジション自体は取れたが少し力みが目に付いた。キャリア的にもまだこれからの馬だろう。ダノンエアズロックは、パドックや返し馬でテンションが上がってしまったのが第一の敗因だろうが、やはりプリンシパルSからの中2週というローテーションは厳しいと言わざるを得ない。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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