【マーメイドS回顧】永島まなみを「称えるべき」逃走劇 夏場の牝馬重賞は“いかにも”という結果に

佐藤直文 レース回顧
マーメイドS

絶妙ペースの大逃げで アリスヴェリテが影を踏ませず

 “格より調子”という古くからの競馬格言があるが、もっぱら牝馬の戦いや夏競馬に使われるもの。上位3着までの馬たちがいずれも前走で条件戦を勝った馬、というのは、いかにも夏場の牝馬重賞らしい結果であろう。

 アリスヴェリテは、同型馬を捌いて果敢にハナに立ち後続を離しての大逃げ。ただ、前走の2勝クラス勝ちが1000m通過56秒8の暴走気味のラップだったのに対し、今回は58秒3でこの馬にとっては楽なペースだった。馬場の回復も良かったと言えるが、絶妙のペース配分に持ち込んだ永島まなみ騎手の見事なエスコートを称えるべきであろう。50キロの軽ハンデも生かしたとはいえ、人馬ともに重賞初制覇となる鮮やかな逃走劇であった。

アリスヴェリテ

永島まなみ騎手の必死の叱咤に応えたアリスヴェリテが逃げ切りV

 2着エーデルブルーメは、序盤こそ後方のポジショニングだったが、前が楽をしていると見て早目に進出したのは川田騎手の好判断。届かなかったのは相手を褒めるべきであり、この先はもっと良くなる馬だろう。

 3着ホールネスも、後方からじっくり構えての直線勝負だったが、勝ち馬同様に2勝クラスを勝ち上がっての格上挑戦。ハンデの恩恵もあったとはいえ、まだキャリア5戦目だったことを考えても、この先が楽しみな馬である。

 4着ファユエンは、道中最後方から腹をくくっての直線勝負。メンバー最速の上がりで脚を見せたが、いずれどこかでハマる可能性はある。

 コスタボニータは、小倉の愛知杯では3着に来たが基本的に2000mは少し長い馬で、当時よりも高速の決着に対応できなかった印象。ミッキーゴージャスは、その愛知杯を勝った時の状態に戻っていなかったか。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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