【宝塚記念回顧】ドウデュースらに道悪は影響したか 「ディープより1秒速い決着」が示すもの

佐藤直文 レース回顧
宝塚記念

面目躍如の道悪巧者 ブローザホーンが大外一気に突き抜ける

 ディープインパクトが勝った2006年以来、18年ぶりとなる京都での施行。当時と同じように雨中での決戦となったが、稍重発表だった18年前よりも重馬場ながら1秒速い時計での決着となったのは、それだけ淀みのない流れでの底力勝負になったことを物語っている。もちろん道悪適性が勝負を分けた感は否めないが、良馬場だったとしても上位の顔ぶれは大きく変わらなかったのではないだろうか。

 ブローザホーンは、序盤は後方から馬群の外目を手応え良く追走。3コーナーの下りからジワッと進出し、4コーナーでは馬群の一番外へ進路を取り、最後は外ラチに近いところを一直線に突き抜けてみせた。相当な道悪適性を示したと同時に、底力が問われる状況となったことで、持ち味をフルに生かしての完勝。5歳を迎えての急成長だが、まだまだ良くなってくる可能性も十分にある。

ブローザホーン

外ラチ沿いを伸びたブローザホーン(桃帽)と菅原明良騎手が、人馬ともに嬉しいGI初勝利

 2着ソールオリエンスは、勝ち馬が進出した勝負どころで一旦は最後方近くまでポジションを下げたが、直線で同じ大外から勝ち馬を追ってゴール前で2着に浮上。皐月賞以来となった重馬場での復活も十分納得できる道悪巧者ぶりだった。

 3着ベラジオオペラは、好位外目の追走から直線でも馬場の良い外へ進路を取って一旦は先頭に立つ形。プラス12キロの馬体も太目ではなく充実を示すもので、この馬もまたまだまだ良くなりそう。

 4着プラダリアも、前々の正攻法で運んで直線では3着馬と馬体を併せて渋太く伸びていた。巧く乗られて持ち味は生かし切ったように思える。

 5着ローシャムパークは、勝負どころから一気に前へ取り付いたが、直線を向いた時点でガス欠に。タフな競馬への対応力がまだ身に付いていなかったか。

 ドウデュースは、後方からではあったが道中で馬群の外へ持ち出すスペースが見つからないまま、直線でやむなく内を突く形。道悪も良くなかったと言えるが、今日の馬場なら外目の枠が欲しかったところだろう。ジャスティンパレスも常に外に馬を置いた状況での追走で同じことが言えそうだが、道悪で持ち前のキレ味を発揮できなかった。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。