【安田記念回顧】「最強マイラー」証明したジャンタルマンタル 3着ソウルラッシュは“超スロー”が災い

佐藤直文 レース回顧
安田記念

3度目のマイルGI制覇 ジャンタルマンタル

 少し時計のかかる馬場とはいえ、半マイル通過46秒7は超の付くスローな流れ。歴戦の古馬の戦いらしく極端に折り合いを欠く馬はいなかったとはいえ、ある程度のポジションで運んだ上で、我慢を利かせて脚を溜めることが問われる競馬となったように思う。

 ジャンタルマンタルは、久々でも確かな成長を感じさせる素晴らしい好馬体。序盤に外から擦られるシーンもあったが、今日の流れを3番手で運ぶ自在性は他馬と一線を画すレベル。直線を向き残り300mで余裕の手応えで先頭に立つと、全く危なげのない完勝だった。これで、2歳時、3歳時に続いて3年連続でのマイルGI制覇。最強マイラーを証明する勝ちっぷりだった。

ジャンタルマンタル

人気2番手のジャンタルマンタルが完勝劇で3つ目のGIタイトルを獲得

 2着ガイアフォースは、過去2年とも人気を上回っての4・4着だったように、コース相性の良い馬。初ブリンカーの効果もあった上に、少し時計のかかる決着で持ち味を生かした形だ。

 3着ソウルラッシュは、スタート自体は悪くなかったが、今日の流れを中団後ろのポジションで馬群の外を回る形では厳しかったか。

 4着ブレイディヴェーグは、遠征帰りで完調とは言えぬ状態に加えての大外枠を考えれば、力を示すことはできたように思う。

 5着ウインマーベルは、落ち着いた流れを追い風に、直線でも十分に見せ場を作っていた。

 シックスペンスは、最内枠で窮屈な競馬を強いられたことは確かだが、まだ本調子になかったか。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。