7歳馬トーキングドラムが激走 人気を裏切ったシュウジは気性面に課題

佐藤直文 レース回顧
阪急杯

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内からスルリとトーキングドラム

 高松宮記念のステップレースとなる一戦だが、同じくステップレースとなる先日のシルクロードSを勝ったダンスディレクターや、昨年の高松宮記念の覇者ビッグアーサーなど、ここにきて有力馬の故障による回避の報が相次いでいる中で、スプリント界の新星誕生に期待したのだが…。

 前半3ハロンは33秒8と、1400m戦としては少し速い流れとなったが、中団のインでしっかりと脚を溜めて運んだのがトーキングドラムだった。直線では逃げていた馬と内ラチの間に躊躇なく潜り込んでスパッと抜け出すと、2着馬の猛追をアタマ差凌いでのゴール。7歳にしての初重賞挑戦で勝利を収める例は、そうそうお目にかかれるものではないが、有力馬の凡走のみならず、鞍上の巧みな騎乗に加えて展開も見事にハマッた形だ。1200mには良績のない馬で、このあとの高松宮記念に向かうかどうかは微妙だが、長期の休養があって年齢ほどの消耗もないだけに、メンバー次第では今日のような激走もありうるだろう。

トーキングドラム

内をついた7番人気のトーキングドラム(黒帽)が激走V(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ヒルノデイバローは、1200m戦では後方が指定席の馬だが、今日は勝ち馬と並ぶポジションで流れに乗れていた。直線でも巧く馬群を捌いて持ち前の末脚を如何なく発揮したが、最後はコース取りの差の分と言えた。

 3着ナガラオリオンは、序盤は無理をせずに最後方を追走し、直線を向いて外目に持ち出されると、8歳にして初めて芝を使ったとは思えないほどの伸びを見せた。単勝は最低人気で、展開も味方したことは確かだが、この走りはフロック視できず、再度芝を使ってくるならマークが必要だろう。

 4着ブラヴィッシモは、道中こそ好位のインを巧く立ち回れていたが、直線で捌きが遅れてしまったもの。前で運んだ組では唯一の掲示板確保だったことからも、着順以上に評価していいだろう。

 5着メドウラークは、3着馬同様に後方から運んで直線勝負に懸けた形だったが、展開が向いてもここまでの馬か。

 シュウジは、レース前からイレ込みがキツかった上に、ポンと好スタートも切れたことで、馬が完全に行く気になってしまった。前走のように脚を溜めて運びたかったはずの鞍上と喧嘩する形では仕方のない結果と言えるが、その前走は出遅れて“たまたま”脚が溜まったものであり、まだ気性面に課題を残す一戦となったように思う。ロサギガンティアは、出遅れを挽回すべく序盤に脚を使ってしまったもの。あくまで結果論だが、後方でジッとしていれば届く流れだったか。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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