人気も結果も牝馬ワンツー 自信の騎乗に導かれたアエロリット

佐藤直文 レース回顧
NHKマイルカップ

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掛け値なしの強さ アエロリット

 人気上位の2頭は桜花賞組の牝馬だったが、その2頭での決着ではなかったとはいえ、終わってみればやはり牝馬のワンツー。牡馬勢のタレント不足と見ることもできるが、1分32秒3のタイムを先行してマークした勝ち馬は掛け値なしの強さだった。

 そのアエロリット。外枠から好発を決めて少し行きたがっていたが、敢えて内へ併せに行かずに外をノビノビと走らせて折り合いを付けたあたりがベテランの技だった。4コーナーもそのまま大外を回って早目に先頭に立ったが、並みの馬なら馬群に呑み込まれるパターンでも全く脚色は衰えず、唯一迫ってきた2着馬を残り1ハロンで突き放して勝負を決めた。高速決着のクイーンCで時計の裏付けがあったとはいえ、先行する形で能力を引き出した鞍上の自信に溢れた騎乗ぶりと、それに応えた馬の能力に脱帽するしかない。

アエロリット

牝馬アエロリットが早目先頭から快勝(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着リエノテソーロは、中団で脚を溜める競馬で、勝ち馬を目標にして上がり3ハロンはメンバー最速の伸び。デビュー以来の連勝が止まった前走で評価を下げたとはいえ、その前走は久々に加えて仕掛けも早かった。状態アップに加えて、しっかりと脚が溜まればこれくらい走って不思議はなかったと言える。

 3着ボンセルヴィーソは、ハナへ行く自分の競馬で渋太さを発揮したもの。逃げ切り決着だった昨年のメジャーエンブレムにコンマ1秒差の走破タイムだったことを考えても、持てる力は出し切ったと見ていい。

 4着レッドアンシェルは、4コーナーでは2着馬の直後の位置からよく脚を伸ばしてはいたが、スパッとキレる脚を使えなかったあたり、大幅な馬体減も応えたか。

 5着オールザゴーは、中団の馬込みで控える形で、直線もしっかりと伸びていた。今日のメンバーでこれだけやれたのは収穫と言えるだろう。

 ミスエルテは、今日の時計では届く位置取りではなかったと言えるが、本来はもっと脚を溜めて弾けるタイプかもしれない。モンドキャンノは、枠順を考慮して出して行ったのだろうが、やはりこの馬も溜めて行かないと味がない。カラクレナイも、内枠と好スタートを切ったことでいつもより前目で運んだが、これまたこの形ではダメだなのだろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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