マイルも長い直線も何のその マルターズアポジーが重賞3度目の逃亡劇

佐藤直文 レース回顧
関屋記念

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1000m通過57秒9も“この馬の競馬” マルターズアポジー

 良馬場に回復したとはいえ、夜半にも結構な降雨があって朝の時点では稍重発表の馬場。雨の影響が残る中で、持ち前のロケットスタートを決めたマルターズアポジーは、前半3ハロンこそ35秒2と遅めの入りだったが、そこからは11秒台前半のラップを刻み、1000m通過の時点で57秒9と、淀みのない流れを作った。同型馬が揃って外目の枠だったこともあって、後続からのプレッシャーもなかったとはいえ、完全にこの馬の競馬になったと言える。

 そのマルターズアポジーは、前走が七夕賞で2000シリーズからの転戦。陣営もけっしてこの距離に自信を持っての参戦ではなかったが、道中で絡まれることなく速いラップを刻んでの単騎逃げなら、距離に関係なく渋太いことを改めて示した形だ。この勝利で、陣営は今後もマイル路線にシフトするとのことだが、今日のような少し時計のかかる馬場になれば、マークが必要となるだろう。

マルターズアポジー

マイル戦でも見事な逃走劇を演じたマルターズアポジー(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ウインガニオンも、同様に持ち味を最大限に生かした形だが、隊列が決まるまでの序盤の好位グループは、結構厳しい流れと言えただけに、これは本当に力を付けている。もしも勝ち馬とは枠順が逆であったなら、同じ展開になったとしても着順は入れ替わっていたであろう。秋は大きな舞台でも軽くは扱えないはずだ。

 3着ダノンリバティは、2着だった昨年と同じ先行策で結果を出した形だが、やはり後続の有力馬が気になったのか、4コーナーあたりで鞍上が躊躇したぶん、2着馬を捕まえ切れなかった印象を受けた。

 4着ヤングマンパワーは、こちらも勝った昨年とほぼ同じような絶好の位置取りで運べていたが、これまた後ろが気になったか、自ら動いて勝ちに行くシーンがなかった。

 5着ダノンプラチナは、致命的な出遅れを喫したが、インをロスなく回ってよく追い上げたもの。久々の不利や今日のような馬場も合わないことを考えれば、GI馬の底力を示したと言えよう。

 ロードクエストは、テンから行く気のなかった前走とは違って、いつもより前目の中団から。池添騎手も状態の良さを感じた故の積極策だったと思えるが、それでも届かぬ流れだったのに加えて、自身の状態もまだ本物に戻っていなかったか。メートルダールは、返し馬の時点で動きが重く感じた。追い切りでは抜群の動きを見せていたのだが、これも前走時のデキになかったか。ブラックムーンも、いつもよりは前で運んでいたが、ここまで大きく負けたのなら展開云々の問題ではないはずだ。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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