楽逃げクロコスミアがGI馬を退けV 2着ヴィブロスも視界良好

佐藤直文 レース回顧
府中牝馬S

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これだけ楽に逃がしてもらえば クロコスミア

 GIホース3頭が顔を揃える豪華メンバー。その3頭とも力は示す走りだったとはいえ、逃げた馬が前半1000m61秒9のスローなラップを刻んだのであれば、これはもう仕方のない結果と言えた。

 クロコスミアは、スタートを決めて注文通りにハナへ。前述したスローな流れでのマイペースは、後続で折り合いを欠き気味の馬が多数見られた中で、ただ一頭気持ちよく走っていたと思えたほどだった。この逃げが勝因の全てとはいえ、相手はGIホースたちであり、それ相応の力も持ち合わせていたと言える。

クロコスミア

GI馬3頭の追撃を凌いだクロコスミア(右)が重賞初V(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ヴィブロスは、中団のインで掛かることなく折り合い、直線ではしばらく追い出しを待たされるポジションだったが、残り1ハロンで進路が開いてからは素晴らしい伸びを見せ、内外でGI2勝の力を示した。2走前の中山記念との比較でプラス10キロの馬体も成長分と言えそうで、本番のエリザベス女王杯に向けて視界は良好だろう。

 3着アドマイヤリードは、ジョッキーが初騎乗だったのに加えて、初めての56キロの斤量で負担をかけない乗られ方で、後方から運ぶ形となったのも仕方ないと言えるが、直線でも馬群を捌くのに手間取り、残り1ハロンを切ってから弾けるように伸びたもの。今日の流れを考えても、一番強いのはコレかも、と思わせる脚だった。

 4着クイーンズリングは、スタートで後手を踏んだのが全て。今日の流れなら、同様にスローだった昨年のように好位で運びたかったと思えるが、最後も脚を余し気味だったあたり、この距離は短いという印象も受けた。いずれにしろ、レース連覇のかかる本番へ、これまた悲観すべき負け方ではない。

 5着トーセンビクトリーは、内枠で好スタートを切りながら好位に控えたのが裏目に出たか。道中は折り合いを欠く面も見られたし、そもそも、このメンバーにおいて直線向いてのヨーイドンでどうにかなるほどの瞬発力があるわけでもない。ふっくらとした馬体で状態自体は良かったと思えただけに、積極性を欠く競馬となったのは残念だ。

 ワンブレスアウェイは、出負けして道中でも折り合いを欠いてしまっては、力の差以上の負け方となったのも仕方ないだろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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