無敗対決はダノンが完勝 皐月賞の主役に相応しいプレミアムな走り

佐藤直文 レース回顧
弥生賞

距離への不安も払拭 ダノンプレミアム

 人気を集めた無敗のディープインパクト産駒3頭は、いずれも中山が初コースとなり、能力比較とともにコースへの対応力の有無が予想上の大きなテーマとなった。実際に、今日の結果もその対応力の差が出た印象を受け、少なくとも同じ舞台の皐月賞で与えられる評価も定まったと言えよう。もちろん、その先はまだ不確定ではあるが…。

 ダノンプレミアムは、抜群のスタートを決めたあとは、行きたい馬を先に行かせて力みのない2番手追走。勝負どころの3コーナー過ぎからは馬場のいい外目を回りながら、直線を向くと馬なりのままに先頭に立っていた。あとは気を抜かせずに促した程度での完勝であり、スローペースもあって時計こそ2分1秒0と平凡だったが、囁かれていた距離の不安も全くなかった。ライバルたちにはない先行力は、本番でも大きな武器となるはずであり、この後に残るトライアルの結果を待たずして、皐月賞の主役の座は決まったと言えよう。

ダノンプレミアム

2歳チャンプのダノンプレミアムが完勝で皐月に王手(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ワグネリアンは、思ったほどテンションも高くなく、道中は勝ち馬を意識しての中団追走だったが、いかんせん勝負どころでの反応が遅かった。エンジンが掛かってからは、メンバー最速の上がりで2着を確保したものの、今日の差は決定的とも言える。本来、ディープ産駒は小回りコースでも小出しに脚を使う競馬ができるはずであり、本番で逆転を狙うのなら、乗り方も含めた工夫が必要かもしれない。

 3着ジャンダルムは、勝ち馬を見ながら上手なレース運びで、この馬の力は出し切っていた。心配された距離も、2000mまでなら全く問題ないと思えるが、上位2頭とは少し力の差があるだろう。

 4着サンリヴァルは、離して逃げる形となったが、1000m通過61秒5はホープフルSよりも楽なペースで、今日のメンバーで2着争いを演じるだけの粘りを見せたのも納得できる。

 5着リビーリングは、そこから3馬身を水を開けられたが、強敵相手によく走っていた。自己条件に戻れば、2勝目もそう遠くはないだろう。

 オブセッションは、ルメール騎手いわく“4コーナーで待機所へ帰ろうとしていた”ほどの気性の問題が全てだった。その直前まではいい感じで追い上げており、素質自体の評価は下がらない。先々に期待したいところだ。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。