鞍上が好判断 成長も窺えたステイフーリッシュが完勝でダービーへ

佐藤直文 レース回顧
京都新聞杯

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またまた“候補”が出現 ステイフーリッシュ

 上位に出走権が与えられるトライアルではないものの、賞金を加算してダービーへの切符を得たい馬たちが揃った。淀みない流れで2分11秒0の決着タイムはかなり優秀で、切符は2着までしかないものの、上位入線馬は今後も目を離せないハイレベルの一戦だったように思う。

 ステイフーリッシュは、飛ばした逃げ馬を追いかける形の2番手で運び、直線で前を交わすとゴールまで後続に影を踏ませない完勝だった。キャリア1戦で臨んだホープフルSで3着の実績を考えれば、走って当然ではあったが、最大の勝因は前で運んだことで、翌日にGIを制すことになる鞍上の好判断が光ったと言える。大幅な馬体減もあって惨敗した前走から、よく立て直した陣営も見事だが、今日の走りからは馬自身の確かな成長も窺えた。中2週で臨むダービーは、今回の反動や馬体減がないことが前提になるが、圏内の一頭に数えていいだろう。

ステイフーリッシュ

2番手から直線抜け出したステイフーリッシュがそのまま完勝(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着アドマイヤアルバは、道中は後方で折り合い重視で運び、3コーナー過ぎから仕掛けて進出。最後に3着馬の猛追を凌げたのも、早目に動いていたからこそであり、天皇賞で久々にGIを勝った岩田康騎手も乗れている証拠だ。やや不器用なところもあるハーツクライ産駒だが、距離はさらに延びていいタイプであり、この馬もダービーではもしかして、がある。

 3着シャルドネゴールドは、これまでとは違って後方でジックリと脚を溜めての直線勝負。おそらくは、陣営から鞍上にそういう指示が出ていたと思われるが、4コーナーでは絶望的な位置からここまで差を詰めたのだから、この馬も相当な素質の持ち主だ。

 4着グローリーヴェイズは、中団の後ろでうまく流れに乗れていたが、直線を向いてスペースを見つけられず、かなり追い出しを待たされた。最後は内から差を詰めたものの、完全に脚を余すもったいない競馬だった。本来は2・3着馬よりもキレる馬であり、スムーズに捌けていれば、2着もあったか。

 5着メイショウテッコンは、平均以上のペースで飛ばして、直線でも早目に勝ち馬に交わされたが、そこから実に渋太かった。いずれは長距離戦の逃げ馬として出世するのではないか。

 ケイティクレバーは、勝ち馬を見る形の3番手で運んだが、4コーナーでは並んできた2着馬に全く抵抗できなかった。控える競馬よりもハナを切る形の方が現状ではいいのかもしれない。フランツは、出負けして最後方から運び、勝負どころから外を回って追い上げる形。最後は鞍上も無理をしなかったが、本当に良くなるのは秋以降だろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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