横山和生が強気に運んで 人馬ともに重賞初Vハイランドピーク

佐藤直文 レース回顧
エルムS

もうワンランク強い相手でも ハイランドピーク

 過去のデータを見ても前々で運ばないと勝負にならないレース。加えて、行きたい馬が揃ったメンバーでの先行激化も予想されたが、意外と最初のコーナーで隊列が決まる形となった。それでいて、ペース自体は淀みがなく、途中でマクリ気味に仕掛ける馬も不在とあっては、4コーナーを先頭と2番手で回った馬がポジションを入れ替えただけという決着も頷ける。

 ハイランドピークがダートで唯一崩れた3走前のマーチSは、出遅れが全てだったもので、とにかく先行してモマれない形なら強い馬。鞍上にもその認識は強かったようで今回もまた思い切っての先行策だったが、道中3番手から早目に2番手に上がり、3コーナー過ぎからは逃げた馬に並びかけて行く積極策だった。前走のマリーンSで差された馬が不在だったこともあったが、これだけ強気に運んでの完勝なら、もうワンランク強い相手の重賞でも期待できるだろう。

 2着ドリームキラリは、距離に関係なくハナを切ることができさえすれば、無類の渋太さを発揮できる馬。早目に勝ち馬に来られる形もけっして楽ではなかったが、自分の競馬に徹したことで楽に2着を確保した形だ。

 3着ミツバは、砂を被ると嫌気を差す馬で、内枠からダッシュが一息だった時点での後方待機策も仕方なかった。鞍上には道中で仕掛けて、というプランもあったろうが、今日の流れではそれもままならず、直線でモノ凄い脚を使って能力は示したものの、3着に上がるのが精一杯だった。

 4着ロンドンタウンは、好位で巧く脚は溜まっていたが、3~4コーナーの勝負どころで前との差を詰めることができなかった。レコード勝ちを演じた昨年ほどの状態にもなかったか。

 5着アンジュデジールも、好位でソツのないレースができたが、中央の速いダートで、しかも牡馬相手では、ここまでが精一杯だったか。

 リッカルドは、一昨年の覇者だったが、当時は早目に仕掛けて4コーナーでは2番手まで上がっていたもの。そういう競馬ができなかったのは、輸送による馬体減の影響もあったろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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