軽い馬場で本来の実力を発揮 川須レッドアリオンがまんまと逃げ切り勝ち

【佐藤直文 先週のレース回顧】
サマーマイルシリーズ第2戦、新潟の関屋記念は、昨年のクラレントに続いてレッドアリオンが兄弟連覇を成し遂げた。札幌のエルムステークスは、またしても岩田康騎手、ジェベルムーサが圧巻のマクリで初重賞タイトルをものにした。

佐藤直文 レース回顧
関屋記念エルムS

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超スローでの二枚腰 レッドアリオン 【関屋記念】

 ただでさえスローの瞬発力勝負になりやすい新潟マイルで、落ち着いた頭数、そして何より確たる逃げ馬が不在という組み合わせで、大方の予想通りの流れ。前半3ハロンは36秒4という未勝利並みのラップであり、もちろん過去10年でも最も遅い数字であった。ロスのない立ち回りが要求されるのはもちろんのこと、直線でどれだけフルに末脚を発揮できたかが、勝負の分かれ目となったと言える。

 レッドアリオンは、やや立ち遅れ気味のスタートだったが、外枠もあってか前へ行ったもの。最初の1ハロンのラップが13秒2という数字が示す通り、見た目以上に楽に運ぶことができた。3コーナーまでは内のスマートオリオンと雁行する形だったが、無理に抑えずに行かせたのも結果的には正解だったろう。一旦は後続との差を広げたことで、直線で馬群に追いつかれながらも二枚腰を使うことができたわけだが、自身の上がり33秒3は、実は11着に沈んだスマートオリオンの33秒4に次いで遅い数字。前走の中京記念はスムーズな競馬ができなかった以上に、タフな馬場が敗因と見て良く、本来は軽い馬場がいいタイプだ。シンガリまでがコンマ6秒差にひしめく接戦だったが、本来の実力を示した順当勝ちと言えるだろう。

レッドアリオン

逃げ切りで重賞2勝目をあげたレッドアリオン(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着マジェスティハーツは、直線で思い切って外へ持ち出してフルに末脚を発揮したもの。マイルの瞬発力勝負によく対応できたものだったが、やはり本来は1800~2000mでこその馬であり、目下の充実振りを維持できれば秋の中距離戦線でもうるさい存在となるだろう。

 3着ヤングマンパワーは、好位で流れに乗ってよく粘ったものだが、成長分を差し引いても余裕のあるプラス18キロの馬体での好走は、次に繋がるはずだ。

 1番人気カフェブリリアントは、直線で包まれてほとんど追えなかったもの。同様にインにこだわって前が開かなかったサトノギャラントとともに、力負けとは言えない一戦であったが、下がってくる馬がいないペースで流れていただけに、どこかで外へ持ち出すべきではなかったか。

 ◎に推したスマートオリオンは、雁行からレッドにハナを譲ったのが裏目に出たと言えるが、やはり究極の上がり勝負に対応できなかったと見るべきか。それでも前述したように、レッドと上がり3ハロンの差は僅かコンマ1秒であり、この一戦で見限るのは早計だろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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