ダービー馬の底力見せたワグネリアン 盾獲りには更なる上積みを

佐藤直文 レース回顧
神戸新聞杯

精神面での成長も示した ワグネリアン

 このレースでは18年ぶりとなるクラシックホースの対決に注目が集まったが、前半1000m通過が61秒9、しかもその後も12秒台のラップが3ハロン続くスローな流れで、明暗を分ける結果となった2頭の差は、自分の競馬ができたか否かの一点に尽きただろう。

 ワグネリアンは、出たなりのポジションで折り合い重視というのは、代打騎乗の藤岡康騎手にとっても目論見通りだったはずだが、勝負どころから外を回る形だったとはいえ、ゴール前で逃げ馬を捉え、しかも後続に抜かせなかったあたり、さすがダービー馬という底力を見せつけたと言える。プラス10キロの馬体も成長分で、加えてどこからでも競馬ができるようになった精神面での成長も大きい。ただ、菊花賞は2着の僚馬に任せてこのあとは天皇賞へ向かうとのことだが、古馬のハードルも高いだけに、ここから更なる上積みが必要となることは確かだ。

ワグネリアン

代打騎乗の藤岡康に導かれたワグネリアン(赤帽)が優勝(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着エタリオウは、今日の流れで4コーナーまで最後方のポジションは厳しかったと言えるが、勝負どころから追っ付け通しだったことを考えれば、距離はもっと延びていい馬だろう。瞬発力の非凡さは十分に示しただけに、これは菊花賞が本当に楽しみになった。

 3着メイショウテッコンは、前述したペースを4コーナーまで全く後続のプレッシャーを受けない逃げでアワヤのシーンを作ったが、結果的にキレ味勝負となったことを考えれば、もう少しペースを上げて後続にも脚を使わせる形でも良かったのではないか。本番でも絡んでくる馬が居なければ、チャンスはあるかもしれない。

 4着エポカドーロは、スタート直後に躓いてしまったのが全てで、むしろ全く自分の競馬ができなかった割には、よく差を詰めたとすら言える。マイナス4キロの数字以上に馬体は良くなっていたし、この一戦で見限ることは到底できないだろう。

 5着ステイフーリッシュは、前を見る形の好位で運び、直線を向いたあたりでも手応えはあったが、瞬発力勝負では分が悪かったか。距離が延びてタフなレースとなれば、本番でもまだ浮上の余地はある。

 ゴーフォザサミットも、キレ負けした形だったが、夏場に一度使ったアドバンテージを生かせなかったあたり、思ったほどの成長がないのかもしれない。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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