伏兵レッドジェニアル驚きの進化 ダービーでは「どこまでやれるか」

佐藤直文 レース回顧
京都新聞杯

令和の幕開けは波乱決着 レッドジェニアル

 前半1000mの通過が60秒0。けっしてスローペースではなかったが、逃げた馬が2着に粘ったことを考えても、前に有利な流れだったと言えた。

 レッドジェニアルは、道中は中団馬群の後ろ目で流れに乗り、直線を向いて巧く前を捌いて外へ持ち出されると、力強い伸びを見せたもの。これまでの戦績を考えれば、ちょっとビックリしたほどの勝ちっぷりだったが、イレ込んでいた前走時とは違って落ち着きがあり、直線がフラットな京都コースも合うのだろう。ただ、一頭だけ目立つ伸び脚だったとはいえ、上がり3ハロンは34秒7。ダービーでは、どこまでやれるか、といったところかもしれない。

レッドジェニアル

11番人気のレッドジェニアルが差し切りV(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ロジャーバローズは、2ハロン目に10秒5のラップで後続を引き離すと、あとは坦々とした流れに持ち込んだ形。リズム良く走った上で、余力を残して直線でも完全な逃げ切り態勢だったが、外から出し抜けを食らったのなら、これは仕方のない2着だった。

 3着サトノソロモンは、好位を上手に立ち回り、直線でもジワジワと伸びたが、ディープ産駒の割にはキレ味が今一つで、まだまでこれからの馬なのだろう。

 4着ナイママも、前々で運んで渋太く脚を使っていたが、ラストで1勝馬に追い負けたあたりが、この馬の現状での能力を示していたか。

 5着タガノディアマンテは、前を見ながら運んで積極的に勝ちに行く、これまでとは違った競馬だったが、直線では思いのほか伸びなかった。少し距離に壁があるのか、それとも序盤にジックリ脚を溜める形の方かいいのか、評価は微妙なところだ。

 ブレイキングドーンは、後方から直線では進路を探しながら脚を伸ばしたが、これまたキレるタイプではない。現状ではスタミナ勝負にならないと上位進出も厳しいか。オールイズウェルは、今日の流れを前で運んで直線で失速してしまったあたり、まだ力を付け切っていないと見ていい。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。