「これは危ない」から一転 デアリングタクトの測り知れぬ能力

佐藤直文 レース回顧
オークス

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63年ぶり無敗の二冠達成 デアリングタクト

 前日土曜のメインで1800mのレコードにコンマ1秒差、当日6レースの3歳1勝クラスでも1600mで1分31秒7というNHKマイルカップを大きく上回る時計が出たほどの高速馬場を考えれば、昨年のラヴズオンリーユーがマークしたレースレコード(2分22秒8)が更新される可能性も高いと見ていたが、決着タイムは想定より遅い2分24秒4。ただ、前半1000mこそ59秒8というマズマズの流れだったが、向正面から3コーナーにかけてガクンとペースが落ちたためで、実質はスローペースと言えるものだった。実際に上がり3ハロン34秒2の数字は過去10年でも2017年の34秒1に次ぐ速さであり、その年のソウルスターリングが2番手が悠々と抜け出したことを考えれば、この前有利の流れを中団から突き抜けて見せた勝ち馬の強さは測り知れないものがある。

 そのデアリングタクト。序盤のポジション争いでは内枠もあって引かされるシーンがあり、中団以降の馬が仕掛け始めた3~4コーナーでも馬群で動けない形だった。直線を向いて狙った外にスペースが見つからなかった時点では、これは危ないかと思わせたが、内に進路を切り替えてからは、抜群のキレ味で突き抜けたもの。2着に半馬身差であっても、流れを考慮すれば力が一枚も二枚も抜けていたと言える勝ちっぷりであった。

デアリングタクト

63年ぶりに無敗での牝馬二冠を達成したデアリングタクト

 2着ウインマリリンは、外枠からスッと2番手に付けて折り合いもスムーズ。道中のペースダウンで脚も溜められたと言えるが、4コーナー手前で各馬が動いたあたりでも意識的に仕掛けを遅らせたことが、ラストのひと伸びにつながったか。馬の力を出し切って見せた鞍上の好騎乗が光った。

 3着ウインマイティーは、好位で流れに乗って、直線でも早目に仕掛けて一旦は完全に抜け出したもの。最後に内と外から交わされたとはいえ、エルフィンSでは1秒5もちぎられた勝ち馬にコンマ2秒差なら、胸を張れる内容だろう。

 4着リアアメリアは、序盤は中団のインをロスなく運んで、3コーナーから外へ持ち出して直線でもよく脚を伸ばした。不本意だったここ2戦から、ようやく本来の力を示したと言えるが、2400mは少し距離が長かったろう。

 5着マジックキャッスルは、脚を溜めに溜めての末脚勝負だったが、直線で一瞬ブレーキがかかってしまうシーン。そこから立て直して伸びて、改めて力を示したが、これまた距離は2000mくらいまでの馬か。

ミヤマザクラは、中団のインでジックリと乗られていたが、結果的には少し溜め過ぎたか。好位で運んでいれば、着順も上がった可能性はある。デゼルは、マイナス8キロの馬体重が示す通り、中2週のローテーションは厳しかったか。それでも一瞬は伸びかけたあたり、確かな能力は示していた。クラヴァシュドールは、今日のペースの先行策でここまで負けるとは、差しに回った方がいいのかもしれないが、距離に壁があるのかもしれない。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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