逃げればどの馬でも勝てたレースで、冴えたレッツゴードンキ岩田の勝負勘

【佐藤直文 先週のレース回顧】
1985年のエルプス以来、実に30年ぶりの逃げ切り決着となった桜花賞。良馬場に回復したにもかかわらず、1分36秒0の決着タイムは、馬場改修後はもちろん、今世紀に入ってから最も遅いものであった。

佐藤直文 レース回顧
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逃げ切って当然の超スロー 【桜花賞】

 前半3ハロンが37秒1。まだ稍重だった午前の未勝利と比べても1秒以上遅い入りで、その後2ハロンのラップも、12秒9-12秒5とペースは上がらず、1000m通過は実に62秒5の超スローであった。そこから、ラスト3ハロンを33秒5で上がられては、後続が為す術もないのは当然のことであり、極論すれば、同じ競馬をすれば他のどの馬でも勝てたのではないかと思える。

 しかし、そんな競馬ができたという点で、レッツゴードンキと岩田騎手は素直に褒め称えたい。逃げて3着のチューリップ賞は、この馬の実力からすれば不本意なものだったはずで、今回はおそらく『逃げ』の意識はなかったろう。ただ、枠なりに好位で運ぼうとした時に、咄嗟の判断で無理なくハナへ持っていった岩田騎手の勝負勘。これは天性のものではないかと思う。前述したように、これだけ楽に、いわば後方で脚を溜めるくらいのペースで逃げることができれば、止まるわけがない。馬自身が持つ抜群の自在性も勝因と言えるが、惜敗が続く中、試行錯誤で馬を仕上げてきた陣営の勝利だった。

 1番人気を裏切った前走のチューリップ賞から見事2着に巻き返したクルミナルは、モマれて全く自分の競馬ができなかった前走で、負けて学んだ点を生かしたと言える。良馬場への回復も追い風であったし、やはり桜花賞ではディープインパクト産駒のキレ味をマークしなければならないことを、再確認させられた。

 3着コンテッサトゥーレもまたディープ産駒だが、インをロスなく運んだルメール騎手の好騎乗。勝負どころで一旦はポジションを下げたが、そこで脚が溜まったことで馬券圏内に押し上げることができたと言える。

 4着クイーンズリングは、ペースが遅いこともあってデムーロ騎手も早目に仕掛けていったが、今日の流れではここまでが精一杯だった。

 2着から18着までのタイム差が僅かコンマ8秒であり、着順イコール能力差とは言えない一戦であるが、それにしてもルージュバックの9着という結果は負け過ぎだ。結果的には無理という位置取りだったが、鞍上にも策がなさ過ぎた感を受けた。最後は脚を使っていたが、同じ位置取りだったキャットコインに最後は差されていたという点も気懸かりだ。

 オークスへ向けて、という観点で、今回の一戦はあまり参考にならないかもしれない。レッツゴードンキはNHKマイルカップと両睨み(個人的にはオークスでも距離はもつと思うが)であり、ルージュバックは今回の敗戦で受けたであろう精神的なダメージが心配。そんな中で、◎に推したキャットコインは、かなり外を回るロスがあったもので、馬体回復を条件にオークスで見直してみたい。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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