時計は眉唾も… 上位2頭はメジャーエンブレムを脅かす存在

佐藤直文 レース回顧
チューリップ賞

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快時計に騙されてはいけないが… シンハライト

 ここは単なるトライアルではなく、すでに本番の桜花賞でも1番人気が確定的なメジャーエンブレムに挑める馬が出現するか、という興味もあった一戦だが、1分32秒8の決着タイムには驚かされた。これは、2007年にウオッカがマークしたレースレコードをコンマ9秒も更新するばかりか、本番の桜花賞レコードさえも上回る快時計である。ただ、11着までがウオッカのタイムを上回っている点と、直前の1000万特別で2000m1分59秒3という重賞級の時計が出ていたほどの高速馬場を考えれば、額面通りに受け取るわけにはいかない。

 シンハライトは、レースの上がり3ハロンが33秒9という流れの中で、33秒0という凄い数字で上がっての勝利。初戦が好位から、2戦目が後方一気、そして今回が中団からの差しという違う形での3連勝も評価できる。時計自体は眉唾モノでも、自在性と、連続してのハナ差勝ちが示す勝負強さ、そして何より無傷で臨むという点で、本番ではメジャーエンブレムを脅かす存在となりそうだ。加えて、メジャー自身がハイラップを刻む流れになれば、この馬の持ち味もより生きるはず。

シンハライト

外から伸びたシンハライト(緑帽)とジュエラー(黄帽)が1,2着(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ジュエラーは、勝ち馬とほとんど同じ位置取りで運んだが、4角では勝ち馬の内側で、少し進路を探すシーンもあった。一旦は先頭に立ちながら差し返されたのは、その分かもしれず、走破タイムも上がりも全く同じ数字の勝ち馬とは同等の評価を与えていいだろう。

 3着ラべンダーヴァレイは、好位で運んで直線でも最内に潜り込んで流れ込んだもの。3ヶ月ぶりでプラス20キロの馬体は、これくらいでいいと思えたが、本番でどうかと言われれば、微妙なところだろう。

 4着クィーンズベストは、道中2番手から、直線で一旦は抜け出す形。勝ちに動いた分、最後は甘くなってしまったが、内容の濃いレースぶりだった。今回が初のマイル戦だったが、やはり距離はもっとあった方がいいタイプであり、相手なりに走る渋太さには、今後もマークが必要だろう。

 5着デンコウアンジュは、枠なりにロスなくインで立ち回り、直線でも馬群を捌いて脚を伸ばしたもの。メジャーエンブレムに唯一の土を付けた能力は確かだが、望まれるのは当時のような瞬発力をフルに発揮する形だろう。本番で可能性があるとすれば、もっと思い切った競馬しかないのではないか。

 レッドアヴァンセは、大外枠で出負けして、そのまま最後方からの競馬。上がりは最速だった1・2着馬とコンマ1秒しか違わないのだが、数字ほどの伸びでもなかったように見えた。マイナス14キロの大幅な馬体減も響いたかと思えるが、直線に坂のない京都向きのタイプかもしれない。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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