尋常ではないキレ味で、カデナがクラシック候補に名乗り

佐藤直文 レース回顧
京都2歳S

上がり33秒6でカデナが勇躍

 前半1000mが62秒2のスローペース。ゆえに、決着タイムも2分2秒6という平凡なものではあったが、レースの上がりが34秒4という速さの中で、33秒6のキレ味を見せた勝ち馬の決め手は尋常ではなかった。

 そのカデナ。デビュー戦はともかくとして、なぜ前走で負けたのか、と思えるほどのキレっぷりだったが、その前走の勝ち馬(アドマイヤミヤビ)の強さも浮き彫りとなったと見るべきだろう。2000mくらいでのキレ味比べなら、もっと大きな舞台でも勝負になると思える馬。この勝利で今後のローテーションも楽になり、クラシックの有力候補がまた一頭出現した、と判断していい。

カデナ

大外から鋭く伸びたカデナが重賞初制覇(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ヴァナへイムは、マークされる立場だったとはいえ、勝ち馬との決め手の差は歴然としていたか。ただ、早目のスパートで自在性を見せ、賞金を加算できたという点でも収穫はあったと言える。

 3着ベストアプローチは、直線で少し追い出しを待たされる形になった分、2着に届かなかったものの、ラストはよく伸びていた。キャリアを考えてもまだまだこれからの馬だろう。

 4着ワンダープチュックは、後方から運んで4コーナーでは先団直後に取り付き、そこからジリジリと脚を使ったもの。堅実ではあるが、もうワンパンチ欲しいところだ。

 5着ソーグリッタリングは、好位のインから直線で伸びかけたところで寄られる不利。ただ、スムーズだったとしても着順はひとつ上がった程度だろう。

 プラチナヴォイスは、2走前のレコード勝ちや今回の2着馬を完封した前走を見る限り、こんなに負ける馬ではないはずだ。直線の走りから気持ちの問題かもしれず、能力の評価は“保留”としたいところ。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。