前途洋々サンクテュエール 7着ルーツドールは「能力を持っていることは確か」

佐藤直文 レース回顧
シンザン記念

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将来も約束されたか サンクテュエール

 過去10年でこのレースを勝った牝馬が、ジェンティルドンナ、アーモンドアイと、ともに牝馬3冠を達成しているように、牝馬にとっては超出世レースと言っていい。今回も上位人気となった牝馬2頭の勝負は明暗を分けたが、まだキャリアの浅い馬、特にこの時期の牝馬の難しさもまた示す結果となった。

 サンクテュエールは、スタートこそダッシュ一息で置かれたがすぐに挽回し、好位のインで前を見ながらスムーズに折り合う理想的な競馬ができた。前走で見せた力む面もなく、上手に走ることができたことで、先に抜け出した2着馬にも競り勝つことができたと言える。前述したように、牝馬にとってはGIへの登竜門となるレースであり、桜はもちろんのこと、その先へ向けても前途洋々であろう。

サンクテュエール

内をすくった2番人気サンクテュエール(白帽)が優勝(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着プリンスリターンは、逃げた馬を2番手でマークして、直線で一旦は完全に抜け出したもの。所属は関東ながらこの馬に付きっ切りで調教を付けてきた原田和騎手に初重賞を勝たせてあげたかったところだが、今日のところは展開のアヤもあった上に、勝ち馬を褒めるべきレースだろう。3着以下には4馬身もの水を開けており、マイルまでならこの先も楽しみな馬。鞍上にもまだまだチャンスがあるはずだ。

 3着コルテジアは、中団に控える競馬で直線でも渋太く脚を伸ばしたもの。着差が開いただけに評価は微妙ではあるが、今日のような形で競馬ができたことは収穫だろう。

 4着オーマイダーリンは、後方から内を回ってジリジリと差を詰めたが、今の重い馬場よりも軽い芝の方がいいタイプだろう。

 タガノビューティーは、後方でジックリと脚を溜めて運んだが、今日は前有利の馬場と流れ。ダートならペース不問の破壊力を使えるが、芝では展開待ちになってしまうのも仕方はないか。ルーツドールは、枠なりに外を回らされる形で走りに力みも見られたとはいえ、それにしても負け過ぎだろう。新馬戦を好時計で勝った後のケアはできていたはずだが、目に見えない疲れ、そして若い牝馬の難しさも出た結果だろうか。ただ、新馬戦の内容から非凡な能力を持っていることは確かであり、今後の巻き返しに期待したい。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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