【天皇賞・春回顧】互角の戦いから、なぜ… テーオーロイヤルとドゥレッツァで分かれた明暗

佐藤直文 レース回顧
天皇賞(春)

これぞ真のステイヤー 円熟の6歳馬テーオーロイヤルが頂点を極める

 前年の菊花賞、そして最重視すべきステップレースの阪神大賞典、それぞれ圧勝して臨んだ2頭が人気を分ける形。2周目3コーナーまでは互角の戦いを演じていたように見えたが、結果は大きく明暗を分けた。

 テーオーロイヤルは、スタートを決めて内の馬を見ながらスッと好位に付け、ドゥレッツァを前に置く絶好のポジション取り。2周目3コーナーを過ぎて手応えが怪しくなった相手を交わしてからは目標を前に切り替え、直線を向いて力強く抜け出しての完勝だった。道中でヒヤリとするシーンもなく、まさに何の苦労もなく真のステイヤーぶりを見せ付ける内容だったと言える。

テーオーロイヤル

長いブランクもあったテーオーロイヤルが、6歳にしてGIタイトルを獲得

 2着ブローザホーンは、折り合い重視で後方から運ぶ形となったが、ラストの伸び脚は際立っていた。まだ上昇の余地を残す5歳馬であり、いずれチャンスは訪れるはずだ。

 3着ディープボンドは、自分の競馬に徹してよく頑張った。最後は2着馬の決め手に屈したとはいえ、4年連続での馬券圏内確保には頭が下がる。

 4着スマートファントムは、ロスのない立ち回りで直線でも内からよく差を詰めたもの。3勝クラスを勝ち上がったばかりでの大善戦で、今後が楽しみなる走りだった。

 タスティエーラは、追い出されてジリジリとしか伸びなかったあたり、距離が長い感を受けたが、それでも7着なら復調の兆しは見せたと言える。サリエラは、ポジションを取りに行く形となったが、もう少し後ろからジックリと運んだ方が良かったか。ドゥレッツァは、自分の競馬ができていたように見えたが、完調だったならここまで負ける馬ではないだろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。