【スプリンターズS回顧】9番人気Vもルガルは「着差以上」 7着サトノレーヴは「やり過ぎた」可能性も

佐藤直文 レース回顧
スプリンターズS

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春の失速から半年の雌伏を経て ルガルが新たなスプリント王者を襲名

 後続を引き離して逃げた馬の前半3ハロンが32秒1。2番手の馬も含めて明らかなハイペースだったが、中団以下の馬たちにとっては直線での進路取りも含めて、楽な展開とはならなかったはず。好位から運んで、少し時計のかかる馬場を考えてもかなり優秀な1分7秒0で走り切った勝ち馬の前に成す術がなかったのも当然と言えた。

 そのルガル。外枠から果敢に3番手のポジションを取り切ったが、飛ばして行った前2頭に惑わされることなく自分のリズムで走ることができた。直線を向いても後続馬の脅威に臆することなく、しっかりと前を捉えに行っての正攻法で抜け出したもので、着差以上の完勝と見ることもできよう。今回は骨折明けの半年ぶりということもあって伏兵の域を出なかったが、前走の高松宮記念では1番人気の支持を受けていた馬。ここを目標にキッチリと仕上げられていたのであれば、この結果も何ら驚くべきことではなかった。

ルガル

高松宮記念10着以来のレースとなったルガルが正攻法で初タイトルを獲得

 2着トウシンマカオは、枠なりに内で十分に脚を溜めての追走。直線でも無理に外へ進路を取らずそのままインをついて鋭い脚で前に迫ったが、今日のところは相手を褒めるしかない。前走は中京での勝利だったが、やはり右回りの方がスムーズに走れる馬だろう。

 3着ナムラクレアは、今日のペースでは仕方ないとも思える後方からの競馬だったが、メンバー最速の上がりで、改めて能力を示した形だ。

 4着ママコチャは、ある程度のポジションは取れたとはいえ、理想は勝ち馬の位置だったか。この馬には難しい流れで、先行力が機能しなかった感も受けた。

 5着ウインマーベルは、近走では1400mに特化していたことを思えば、よく走っていた。ただ、もう少し時計がかかって欲しかったところだろう。

 サトノレーヴは、スタートが一息で理想のポジションを取り切れなかったのが響いた。1週前の快調教も少しやり過ぎた可能性があり、夏場からの状態の上積みという点でも乏しかったように感じる。ただ、今回が一線級とは初の手合せだったこともあり、この経験を今後に生かせば、再び頂点を目指せる馬だろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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