【阪神JF回顧】大敗ブラウンラチェットに「足りなかったもの」とは… 勝ち馬との明暗分けた“経験値”

佐藤直文 レース回顧
阪神ジュベナイルフィリーズ

底力で掴み取った女王の座 桜も主役でアルマヴェローチェ

 前半1000m通過が58秒5で、決着タイムが1分33秒4。阪神開催の例年とは比較しづらいが、10月からの連続開催で荒れてきた馬場を考えても、かなりキツいラップの競馬となったように思える。前哨戦で最もハイレベルだったアルテミスS組が人気上位となったが、そのアルテミスSはスローペースでの瞬発力勝負だったもの。タフな流れの競馬の経験値が勝負の明暗を分けたかもしれない。

 アルマヴェローチェは、スタートを決めて前の組の動きを見ながら理想的なポジショニングだったか。4コーナーで外に振られたとはいえ、直線では馬場のいい外目で存分に脚を使うことができた。このあたりは,タフな競馬だった前走の札幌2歳Sでの経験も生きたはずであり、そこからの精神面での成長も十分に感じさせる走りだった。マイルはもちろん、距離が延びても良さそうなタイプだけに、来春のクラシック戦線でも主役を演じることとなろう。

アルマヴェローチェ

5番人気のアルマヴェローチェが先頭ゴール、前走1800mを走った馬が3着までを占める結果に

 2着ビップデイジーは、枠なりにコースロスなく運んで、直線を向いてスムーズに外へ誘導された形。勝ち馬には伸び負けたものの、よく脚を伸ばして安泰の2着だった。

 3着テリオスララは、出して行って好位から。これまた枠なりにロスなく運んだが、直線ではそのまま内をつく形。その分だけ伸び切れなかったが、見せ場は十分に作ったか。

 4着ショウナンザナドゥは、厳しい流れの中、前々でかなりキツい競馬を強いられた形。それでも崩れなかったのは能力の証明であり、距離も延びていいタイプだろう。

 メイデイレディは、外枠から前に壁を作れず掛かり気味の追走。十分に脚を溜めることができなかった。ブラウンラチェットは、手応えに余裕が感じられない追走で、大幅な馬体減の影響もあったように思えるが、やはり今日のような厳しい流れの競馬を経験できなかったことも敗因のひとつだろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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