ソツなく乗られたクイーンズリング エ女王杯では距離克服が鍵

佐藤直文 レース回顧
府中牝馬S

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名実ともにクイーンの座を クイーンズリングがタイトル獲りへ

 純然たる逃げ馬が不在の組み合わせ。強いて挙げればスマートレイアーがハナへ行くのか、と言ったところだが、そのスマートが控えたことで、外枠から少し掛かり気味にシャルールがハナに立つ予想外の展開となった。テン3ハロンは35秒8、その後の3ハロンのラップも全て12秒台というスローペースで、完全な上がり勝負となったわけだが、レースの上がりは33秒9、しかも実力馬が揃って好位で運んでいたとあれば、中団から後方待機の馬に出番がなかったのも当然と言えよう。

 クイーンズリングは、このスローな流れを好位外目でスムーズに運ぶことができたもの。実力馬がこれだけソツのない競馬をすれば、結果も順当なものと言えた。距離もこの1800mがピッタリだと思えるが、おそらく次走となるエリザベス女王杯は、微妙に長い2200mをどう克服するかが鍵となるだろう。

クイーンズリング

先行抜け出しでクイーンズリング(右)が重賞3勝目をあげた(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着マジックタイムは、これまたいつもより前目で、枠なりに好位のインをスムーズに運んで力を出し切ったもの。完璧なレース運びだったと言えるが、勝負を分けたのは距離適性の差だったか。こちらはやはりマイルがベストの馬であろう。次走のマイルCSは、牡馬相手でも侮れない存在となるはずだ。

 3着スマートレイアーは、今年3戦がいずれも逃げ・先行で結果を出してきたが、道中は1・2着馬の一列後ろに控える形に。これは次走のエリザベス女王杯を意識した乗り方だったと推測できるが、ラストもしっかりと脚を伸ばしており、上位2頭とは位置取りの差や斤量が1キロ重い分だったと言える。6歳秋でも全く力は衰えておらず、次は怖い。

 4着アスカビレンは、中団からいい脚を使って、地力アップをアピールした形。上位3頭の実力を考えれば、牝馬同士のGIIIあたりならいつでも勝負になりそうだ。

 5着カフェブリリアントは、折り合いを考えたかスタートで出して行かず、後方で脚を溜める形。その分、ラストはメンバー最速の上がりを使ったものの、今日の流れで後方からでは届かないのも無理はなかった。

 シャルールは、前走なども2番手から渋太さを見せており、けっして逃げの手が間違いだとは言えないが、これまで一度もハナを切ったことがない馬であり、慣れない競馬で気性面の難しさも出たように思える。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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