“牝馬のユーイチ”教育成功ヴィブロス 今後は姉以上の活躍も
ハナ差惜敗の姉へ捧げる大金星 急成長でヴィブロス戴冠
昨年までの過去10年で前半5ハロンの通過タイムが60秒を超えたのは1回のみ。57秒台が1回、58秒台が7回と、ほぼ例外なくハイラップの過酷な消耗戦となるレースだ。当然、予想もそれを前提として組み立てたわけだが、前半1000m通過が59秒9という想定外のスローペースには面食らった。正直、京都内回りでこの流れなら後方待機組に出番はない。
ヴィブロスは、スタートから1コーナーまでは口を割るシーンもあり、何とか鞍上が宥めて中団で折り合いを付けたもの。ただ、以降は実にリズム良く運び、直線でもスムーズに外へ進路を取って鋭い決め手を発揮した。こういう競馬を教えたのが、3走前から手綱を取っている福永騎手本人であり、それが実を結んだあたりも、さすがは“牝馬のユーイチ”である。全姉のヴィルシーナとは違って展開に注文が付かないタイプであり、今後の伸びしろを考えれば姉以上の活躍も期待できそうだ。
2着パールコードは、勝ち馬よりも一列前のポジションで運び、ゴール前で一旦は前を捉えて先頭に立ったものの、勝ち馬の決め手に屈した形だ。瞬発力勝負になっては分の悪い馬だけに、結果論かもしれないが今日の流れならもう少し積極的に動いていれば、凌げた可能性がある。
3着カイザーバルは、序盤のスローな流れで持って行かれ気味となってしまったが、それでここまで走るのだから潜在能力は高い。まだ未完成の部分もあり、経験を積んで成長すれば、重賞の一つや二つは勝てる馬だ。
4着ジュエラーは、前走の惨敗は骨折明けのみならず道悪が影響したもの。むしろ、本番を意識してポジションを取りに行った点で好感が持てる内容だったが、今日は内枠が災いした印象を受ける。ペースが流れれば問題はなかっただろうが、インコースから4角でもゴチャ付いて外へ持ち出せず、力をフルに発揮できなかった。
5着レッドアヴァンセは、道中はジュエラーとほぼ同じ位置取り。この馬なりに脚は使っていたが、今日の流れではここまでが精一杯だったか。
ビッシュもまた、ジュエラーらと同じ位置取りだったが、こちらは馬群の外目だっただけに、直線でも前は開いていたし、いくら展開が不向きとはいえここまで大きく負ける馬ではない。大きく馬体が減っていたわけでもないだけに、首を傾げざるをえないが、少なくとも美浦では問題のなかった状態が、輸送を経ての出走までに何かあったとしか考えられない。
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