好仕上がりで快勝リスグラシュー 成長力ある血統に期待大

佐藤直文 レース回顧
アルテミスS

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超スローから一気に弾けて 今後も楽しみリスグラシュー

 テンの3ハロンが36秒3のスローペース。古馬ならまだしも、若駒の競馬だけに掛かる馬が続出したのも当然と言えたが、途中から離す形となった逃げ馬の1000m通過にしても、61秒0という遅さであり、けっしてペースが上がったわけではなかった。そんな中で馬群から抜け出した上位2頭は、実にスムーズな競馬ができていた。

 リスグラシューは、外枠でもうまく折り合い、途中からポジションを上げていったところでも、自分のリズムを崩していなかった。前走のレコード勝ちの反動も心配されたが、うまく仕上げてきた陣営の力も見事と言える。これだけ競馬が上手で、なおかつ成長力のあるハーツクライ産駒なら、今後が相当楽しみである。

リスグラシュー

武豊騎手を背にアルテミスSを快勝したリスグラシュー(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着フローレスマジックもまた、中団馬群でピタリと折り合う上手な競馬。マイナス12キロの馬体ではあったが、そのぶん最後までよくキレていた。こちらは距離がもっとあっていいと思えるタイプだが、3着以下に3馬身半の決定的な差を付けたものであり、これまた先々が楽しみとなる。

 3着シグルーンは、なかなかのセンスを感じさせる走りっぷりだったが、インの2番手からの流れ込みで、今日はペースに恵まれた形だ。

 4着アピールバイオもまた、3着馬と同じ位置での競馬から流れ込んだものだが、勝ち馬に一気に交わされてから盛り返し気味に伸びており、この馬も距離が延びていいタイプかもしれない。

 5着サトノアリシアは、このスローペースで完全に持って行かれる形。それでも掲示板を確保できたのは、能力の証であり、惚れ惚れする好馬体からも、けっして評価は下げられない。ハービンジャー産駒だけに、この馬も距離が延びてこそだろう。

 トーホウアイレスは、内枠も災いしたと言えるが、今日のペースで4角最後方のインなら、出番がなくて当然だった。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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