ジューヌエコール無傷3連勝も… 超スローでクラシック参考外

佐藤直文 レース回顧
デイリー杯2歳S

真価は次走以降に されど無傷のジューヌエコール

 前半4ハロンが48秒4で、後半4ハロンが46秒2と、2秒以上の開きがあるほどの超スロー。完全に上がりだけの競馬となったもので、正直言って、今日の結果が今後の戦いにおいて参考になるとは思えないほどだ。

 1400mでの2戦2勝で臨んだジューヌエコールは、好位のインで我慢をさせて、直線では逃げた馬をキッチリと捕らえたところがゴール。距離延長にも対応して、内容的にも着差以上の完勝だったと言えるが、今日ほどのスローなら勝って当然の位置取りであったし、1600mが合っているのかどうかの判断も付きにくい。これでクラシックの有力候補になったことは確かだが、無傷の3戦3勝を額面通りには受け取れない気もする。

ジューヌエコール

デビューから無傷の3連勝を収めたジューヌエコール(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ボンセルヴィーソは、これだけ楽なペースで逃がしてもらえば、残って当然だったか。デビュー当時から成長は示しているものの、今後も余程恵まれないと厳しいだろう。

 3着サングレーザーは、この遅い流れで行きたがるのを懸命に宥めて折り合いを付けた形。それもあってか、追われてジリジリとしか伸びなかったが、こういう競馬ができたことは、今後に繋がると思える。

 4着ディーパワンサは、久々だったせいか反応が一息だったが、最後はよく伸びていた。こちらは距離が延びても大丈夫と思えるし、次は大きく変わっていい。

 5着ベルカプリは、道中2番手でスムーズに折り合えていたが、結果的に逃げた馬とは上がりも一緒の数字で、前走のようにハナへ行っていれば着順が逆になっていた可能性もある。

 タイセイスターリーは、出負けして外を回る形で追い上げたものの伸びを欠いた形。今日の流れでは届かない位置取りだったことも確かだが、現状では初戦のような前に行く競馬しかできないのかもしれない。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。